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英国BCP識者訪問の旅(2) BCIの重鎮リンドン・バード氏

掲載:2010年05月25日

執筆者:代表取締役社長 副島 一也

コラム

さて、それでは、訪問記第2回はBCIのリンドン・バード氏を訪問した時の様子をご紹介したいと思います。インタビューの詳しい内容はリスク対策.COM本誌にがっちり纏められておりますのであまり重複しないようにしたいとは思いますが、簡単にまずBCIのことをご紹介します。

         

BCIとは

BCIとはビジネス・コンティニュイティー・インスティチュートのことで日本語にすると「事業継続協会」というNPO法人です。現在世界90カ国に5,000人以上の会員を持つ大きな組織です。日本にもBCI日本支部があり、インターリスク総研の篠原氏が日本の代表をされています。私もBCI日本支部の中でいくつかある分科会の一つでリーダーをさせていただいております。事業継続管理に関しての普及啓発活動を行っている国際的な組織としては世界で最も影響力を持つ団体の一つです。詳しくは用語集のBCIの項をご参照ください。

今回、リンドン氏とお会いしたのはロンドンウエストエンドのど真ん中に在るIOD(インスティチュート・オブ・ダイレクターズ)の建物で、イギリスで活躍する多くの事業家が会員になって利用している由緒ある社交場です。バッキンガム宮殿にほど近く、多くの紳士淑女専用クラブ的な重厚な建物が立ち並ぶ区域の一画です。そこで、リンドン氏はBCIの成り立ち、歴史やその意義について諸々の話をしてくださいました。

BCIの007

リンドン氏はBCIの立ち上げ初期メンバーの一人ですが、BCIのメンバーには会員Noが付されています。BCIの生みの親、会員No1の人物はアンドリュー・ヒルズ氏で、リンドン氏の会員Noは7番。「僕はBCIで特別任務を持ったゼロゼロセブンなんだ」とおちゃめな様子で語ってくれました。

リンドン氏の活動範囲は広く、日本にも何度も来られています。IDGが主催する事業継続管理カンファレンスにおいても過去2回ほど基調講演をつとめられ、積極的に情報提供をおこなわれています。また、英国国内では、政治の分野からBCMの動きを活性化させる活動に力を入れてらっしゃいます。先日の英国総選挙の際には選挙前に主要3党にBCMに関する提言書を出し、今後の政策側からの動きの言質を取るといった活動などが挙げられます。

ちなみに、提言書には保守党と自民党から回答を得たとのことです。最も前向きな返事をくれたのが今回第一党となった保守党です。選挙前に保守党から送られてきた返信では、「公的機関及び民間の両方が十分なレジリエンシーを備えることが重要であり」、また「BS25999を政府の調達基準に入れるべきだ」と言った回答を引き出しています。一方自民党もリンドン氏のレターには前向きな回答を返されていました。今回連立で政権を組んだ2党の英国のリーダー達が今後、BCMについてはどのような舵取りをしていくのか期待したいと思います。

英米の攻防?

BCI重鎮リンドン・バード氏と記念撮影@IOD。写真左は英国Newton ITの森本健至良、右は副島。

さて、話をインタビュー当日に戻します。

イギリス人はとにかくおしゃべり好きな方が多いです。この日のリンドン氏も2時間の枠をいっぱいに使って話してくださいました。(あまりの気合に最後の方はだいぶお疲れな感じでしたが・・・。)インタビュー自体はリスク対策.COMをご覧頂くとして、ここでは特に印象に残った点についてお話しします。

リスク対策.com中澤編集長の「BCMの考え方を確立したのはアメリカではなくイギリスなのか?」という問いに対してリンドン氏は「答えはYesである。が、Noでもある」とお答えになりました。イギリス人が良く使う表現ですね(笑)。実際にBCMが形になる過程では、アメリカ及びイギリスの両方で活動があり両者間での論争や合意があって形作られた経緯があるのでそのような表現になるのだと思います。しかしながら、イギリス発のBCIの代表としては、そうは言ってもBCMを作ったのはイギリスである、を基本スタンスにリーダーシップを取っていくわけです。このあたりの自らを世界の中心として啓蒙を続けていく政治的な手法はさすがというところでしょう。

リンドン氏を代表とする英国BCIは、実際に事業継続のレジリエンシーを高めること、普及啓発への熱意も本当に力強く、こうした熱が世界に広がって行くのだなとも感じさせられました。世界中のベストプラクティスが集まり研究され、新たな成果が生み出されていく、その過程に是非我々も今後とも協力していきたいことを約束し、我々はリンドン氏と別れ、IODを後にしました。

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