BCI (The Business Continuity Institute)

BCI (The Business Continuity Institute) は、事業継続管理 (BCM) とレジリエンスの専門機関として、1994年にイギリスで設立された国際組織です。企業や政府機関向けにBCMのベストプラクティスや資格、トレーニングを提供し、世界中の組織が事業継続戦略を構築・強化できるよう支援しています。公式サイトによると、世界で120か国以上、9000人が加入していると紹介され、日本にも支部があります(2025年3月現在)。
BCI (The Business Continuity Institute) とは
BCI (The Business Continuity Institute)の主な目的は、事業継続のベストプラクティスを提供し、組織のレジリエンスを向上させることです。そのため、企業(大手・中小企業問わず)、政府・自治体、公共インフラ事業者(電力・交通・通信など)、金融機関・医療機関、教育機関・研究機関を対象に、事業継続の専門家育成を目的とした資格制度やトレーニングプログラムを展開し、ISO 22301(事業継続マネジメントシステム、BCMS)の普及啓発を推進しています。
BCIの主な活動と役割
1. BCMのベストプラクティス策定
BCIは、ガイドライン「BCI Good Practice Guidelines (GPG)」を発行し、事業継続の最新基準を提供しています。このガイドラインは、ISO 22301(事業継続マネジメントシステム、BCMS)と連携し、各国のBCM関連規格にも影響を与えています。初版は2001年発行、数年に1回程度の頻度で改訂され現在はEdition7(GPG7)となっています(2023年改訂)。
2. 事業継続の資格認定
BCIは、世界的に認知された事業継続の国際資格「CBCI」を提供し、企業のBCM責任者やリスクマネジメント担当者のスキル向上を支援しています。
3. 教育・トレーニングの提供
企業や個人向けに、オンラインおよび対面形式でのトレーニングプログラムを展開し、事業継続に関する知識を深める機会を提供しています。
4. 調査・レポートの発行
「BCI Horizon Scan Report」や「BCI Supply Chain Resilience Report」などの調査レポートを通じて、最新の事業継続トレンドや市場動向を提供しています。
5. ネットワーキング・イベントの開催
年次で開催する「BCI World Conference」(BCI World Hybrid Conference and Exhibition)などのイベントを通じて、事業継続の専門家や実務者たちのグローバルなネットワークが形成されることを促進しています。カンファレンスでは基調講演や分科会のほか展示会なども開催されます。
BCIのグローバル展開と日本支部の役割
BCIは本部をイギリスに置き、世界各国に支部を展開しながら、各地域の事業継続支援を行っています。特に、アジア、ヨーロッパ、アメリカ、オセアニアなどで活動し、各国の事業継続計画(BCP)策定やガイドラインの整備に影響を与えています。また、ISO 22301などの国際基準の普及を支援し、BCMのグローバル標準を推進しています。
BCI日本支部は、BCIの国際的なフレームワークを日本の市場環境に適用し、国内の企業や組織がBCMを適切に実践できるよう支援しています。日本特有のリスク環境に対応するため、定期的にセミナーやワークショップを開催し、最新の業界動向や実践的なBCP策定手法を提供しています。また、官公庁や民間企業との連携を強化し、事業継続のベストプラクティスを普及させる取り組みを進めています。
BCIの会員資格
BCIの会員資格は、BCMの専門性を示すものとして設けられています。エントリーレベルの資格としてCBCI資格があります。CBCI資格よりも上級のもの(AMBCIやMBCI、FBCIなど)は、その資格が求める水準を満たしていることを証明するなどして認定を申請する仕組みとなっています。
資格の種類と取得条件
資格の種類 | 取得条件 |
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CBCI (Certificate of the BCI) | BCIの認定試験に合格し、事業継続管理の基礎知識を証明する必要がある。事前にBCIのトレーニングコースを受講することが推奨される。 |
AMBCI (Associate Member of BCI) | CBCI資格を取得するか、BCMの実務経験を有し、BCIが定める評価基準を満たすこと。例えば直近20か月の間に少なくとも20時間のCPD(継続的専門能力開発)活動を完了していることが必要で、BCMに関する基本的な知識と実務能力を証明できることが求められる。 |
MBCI (Member of BCI) | AMBCIの資格を有し、BCIが定める技術的および実務的要件をクリアすること。3年以上のBCM実務経験を持ち、事業継続管理のプロフェッショナルとしての専門性を証明する資料を提出する必要がある。 下記2つの条件を満たすと、上級の「Honorary MBCI」(Hon MBCI)の資格が得られる。 ①7年以上にわたり、BCI会員として著しく貢献していること ②10年にわたり業界への貢献が認められること |
FBCI (Fellow of BCI) | MBCIの資格を有し、業界への貢献実績が認められること。10年以上のBCM実務経験を持ち、事業継続の専門家としてのリーダーシップを発揮し、BCIコミュニティ内外での影響力を証明することが求められる。 下記2つの条件を満たすと、上級の「Honorary FBCI」(Hon FBCI)の資格が得られる。 ①10年以上にわたり、BCI会員として著しく貢献していること ②15年にわたり業界への貢献が認められること |
資格取得のメリットと特典
BCIの資格を取得することで、BCMの専門知識とスキルを証明し、キャリアアップを図ることが可能です。また、グローバルな専門家ネットワークにアクセスでき、業界の最新動向を学ぶ機会が得られます。資格取得者には、BCIの教育プログラムへの優待参加、業界レポートや調査資料へのアクセス、BCI主催のイベントへの参加機会などの特典が付与されます。これにより、最新のBCM知識を継続的にアップデートし、企業のBCPの活動に貢献できます。