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ガイドライン

事業継続ガイドライン(内閣府)

2011年07月14日

国内で最も有名なBCP・BCMのガイドライン

「事業継続ガイドライン」は、国内企業の事業継続能力向上を目指して内閣府(中央防災会議(※1))が、事業継続計画策定・維持改善上のポイントについての考え方をまとめたものです。初版が2005年8月に、(2011年7月現在)最新版である第二版は2009年11月に発行されました。これらはいずれも内閣府の企業防災のページ(記事下部参考リンク参照)から無料で入手することが可能です。
※1.「事業継続ガイドライン」は中央防災会議の中にある「民間と市場の力を生かした防災力向上に関する専門調査会」企業評価・業務継続ワーキンググループによって作成されました。

「ガイドライン(本体+別添)」+「解説書」の構成

当ガイドラインは、本文(第二版が最新)とこれに別添のチェックリスト(第一版が発行された際に合わせて公開されたもの)がつく形で構成されています。加えて、当ガイドライン利用者の利便性向上を目的として2007年に中央防災会議が「事業継続ガイドライン第一版 解説書」を発表しています。したがって、当ガイドラインを利用する場合にはこれら3つ(下図参照)を組み合わせて利用することが望まれます。

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なお、本文は、約30ページ三章から構成されています。

【ポイント】

Ⅰ 事業継続の必要性と基本的考え方
1.1 事業継続の必要性とポイント
1.2 基本的考え方

Ⅱ 事業継続計画および取り組みの内容
2.1 方針
2.2 計画
2.3 実施および運用
2.4 教育・訓練の実施
2.5 点検および是正処置
2.6 経営層による見直し

Ⅲ 経営者および経済社会への提言

最大の特徴は”地震”想定にあり

企業規模・業種を問わずに使えるようにした”汎用性の高さ”や、国際規格を意識した(考え方の)”融和性の高さ”・・・こうした点を特徴として挙げることができますが、最大の特徴はなんと言っても”地震被災(広域災害)”を前提としたガイドラインであるという点でしょう。

具体的にはたとえば、ガイドラインにおいて、地震を使った被災シナリオの策定方法についての解説を行ったり、行動計画書に含めるべき項目として「二次災害の防止(地震による被害が拡大しないように資機材の転倒防止処置を行うなど)」や「共助(地域貢献・地域との共生」をとりあげたりしています。

初版との大きな違いは無し

第二版は、第一版からのマイナーアップデート版です。新型インフルエンザのような断続的に被害が発生する場合の事業継続対応と地震のように一気に被害が拡大する場合の事業継続対応との違いについて読者に意識させる記述がなされています。また、ISOとの融和性向上を狙ってか、PDCAのC(チェック)にあたる「点検および是正処置」の章では、従来BCPの有効性評価のみをうたっていましたが、新たに「“監視(モニタリング)”や“監査”の実施も検討すべき」といったくだりが追記されています。

細かい変更点については、下表をご覧下さい。
該当箇所 種別 内容
1. 事業継続の
取り組みとは
(本文)
追記 事業継続の取組みが有効なビジネスリスクには、大きく分けて、突発的に被害が発生するもの(地震、水害、テロなど)と段階的かつ長期間に渡り被害が継続するもの(新型インフルエンザを含む感染症、水不足、電力不足など)があり、事業継続の対策は、この双方のリスクの性格から違ってくるものと考えられる。
本ガイドラインは、これらのビジネスリスクに対応した事業継続の取組みの基本的考え方について示しているが、主として突発的に被害が発生するリスクのうち特に自然災害を想定した記述をしていることから、他のリスクについては、当該リスクに関する留意点等を取り挙げたガイドライン等を適宜参照されたい。
3 本ガイドラインの特徴(本文) 追記 企業の規模や業種・業態を問わず一般的に適用可能である事業継続の枠組みを示している
2.2.2.3 目標復旧時間・目標復旧レベルの設定
(本文)
追記 また、設定した目標復旧時間における、重要業務の目標復旧レベルを設定する(例えば、重要業務の稼動の割合(%など)を任意の値に定める、あるいは重要業務の中の細分化された業務プロセスのうちいくつかを停止(継続)する、などの判断を行う)。
同上
(図と注釈19)
追記 このイメージ図は、突発的に被害が発生するリスク(地震、水害、テロなど)を主として想定したものであり、段階的かつ長期間に渡り被害が継続するリスク(新型インフルエンザを含む感染症、水不足、電力不足など)のうち感染症に係るもののイメージ図を例示すると、2ページの脚注0の図のようなものとなる。
2.2.5.3 対外的な情報発信および情報共有
(注釈30)
修正 例えば地震リスクの場合は、特に、国際的に取引を行っている企業においては、地震発生のニュースを機に取引停止や契約の締結延期、あるいは国際金融市場における為替や株価などの急激な変動などが起こる可能性があり、適切に対応する必要がある。
2.2.6.6 その他の考慮項目
(本文)
修正 例えば地震や水害などの場合、就業時間内に被災したときには、従業員が自宅に戻るまでに必要な水・非常用食料、トイレなどの手当が望まれる。業務復旧に必要なコアメンバー用には、復旧期間中の業務・生活のための備蓄を確保すべきである。さらに、建物や設備の倒壊などにより閉じこめられた従業員を救出するためのバールなどの機材も、ある程度備えておくことが必要である
同上
(注記46)
修正 例えば地震リスクの場合は、住宅の耐震改修や家具の転倒防止、水、食料、トイレの備蓄、地震保険などの知識教育も重要である。また、従業員の家族との安否確認の徹底には、災害時伝言ダイヤル171の利用体験などが望ましい。
2.5 点検および是正処置
(本文)
修正 企業は、事業継続の取組状況について日常業務の一環として点検・監視を行い、1年間の業務を振り返る機会に併せて(あるいは年 1 回以上定期的に)、事業継続の取組状況を評価する必要がある。実施できているところとできていないところを把握し、日常業務の中で取り組めるところはその都度是正・改善しなければならない。そして、それらの内容は経営者に報告されなければならない。
さらに、事業継続の取組みが進んでいる企業においては、監視や評価の水準を上げ、年1回以上定期的に監査を実施することが求められる。その監査結果は経営者に報告されなければならない。
追記: 完全に新たに追加された段落や文章
修正: 既存の文章の表現に変更が加わった段落や文章(赤色が特に変更された箇所)

使い方を上手に工夫することでBCP構築の大きな手助けになる

企業の事業継続計画策定の担当者が主な利用者になると思われます。ただし汎用性を意識して策定されたガイドラインであることから本文だけでは具体性に欠け、BCPにさほど詳しくない人が本文のみを使ってBCPやBCMの構築をすることは現実的ではありません。

したがって有効な活用方法としては、事業継続計画策定の基本的な考え方・アプローチの仕方を理解するためにまず「事業継続ガイドライン」本文を読むことをお薦めします。その上で、別添のチェックリストを使って自社の整備状況(課題)を確認し、最後に「事業継続ガイドライン第一版 解説書」を用いながら、整備できていない部分についてどう手当をするかを考えると良いでしょう。

(文責:勝俣 良介

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