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BCP対策のススメ:第一回 事業継続能力を高める活動がビジネスを拡大させる【大塚商会寄稿コラム】

掲載:2013年01月01日

執筆者:代表取締役社長 副島 一也

コラム

疾病の大流行や自然災害に備える余裕があるのは大企業ぐらい、と考えていませんか。中堅、中小企業こそ、BCPをしっかり考えておくことで機会損失を抑えつつチャンスを見つけ、会社を強くできるのです。

         

そもそも安否確認って必要なのでしょうか

事業継続計画というと、決まり文句のように「安否確認」が引き合いに出されます。もちろん、安否確認は重要です。しかし、「そもそも安否確認が必要かどうか」を考える必要があるのではないでしょうか。大きな災害が発生すると時系列でいろいろなことが起こります。ここで、事業継続というポイントに絞って物事の重要度を切り分けて考える必要があります。つまり、会社が事業を継続するにあたって、「何がないと困って、何があればいいのか?」このポイントが明確になってくると、自社にとってのあるべき安否確認の方法、時間軸が変わってくるはずです。

業種によっては、事業を早急に立ち上げても社会的な意味がない、といったこともあるでしょう。当社のように、コンサルティング会社を例に考えればわかりやすいと思いますが、災害が発生後5時間で全員が出社できたとしても、社会的にも、会社としてもあまり意味がありません。当社の業務内容からすれば、いち早く事業を再開させることよりも、まずは安全を確保し、自宅で待機していることを最優先にするべきです。このように、会社によって事業を継続するために重要な要件は、異なっているということを知る必要があります。

事業継続計画に関して、企業間格差が広がっている

ニュートン・コンサルティング株式会社
代表取締役社長 副島 一也

事業継続計画の作成を「やらされる」、「やらなければならない」ととらえるのか、ビジネスのツールとしてとらえるのかによって、取り組む姿勢が違ってきますし、結果も変わります。最近は、中堅・中小の企業からの問い合わせが増えています。ただし、その多くは、「やらされる」、「やらなければならない」といった意識からではなく、事業継続計画を作ることが「商売」をする上で、競合他社に対する優位性を確保するためのツールであることに気づかれた会社です。

大手の企業が取引先の見直しを行うとき、「事業継続計画」を持っているかどうかを取引条件に置き始めています。これまで通りビジネスを継続するには「事業継続計画」が必要です。しかし、それだけではありません。これまで取引のなかった企業に対しても、自社がきちんと「事業継続計画」を立て、高い事業継続力を持つ企業であることを示すことでビジネス拡大につなぐことができるのです。会社を、ビジネスを守るだけではなく、新たな取引先獲得の仕組みとして事業継続計画が機能するのです。

事業継続計画の基本は「できるところから実施」

事業継続計画を立てるには、たくさんのチェック項目をすべて満足させなければならないと思われるかもしれません。一見やらなければならない事案が多いように見えますが、事業継続計画を立てることは、一覧表にあるチェック項目を満足させることではありません。まず、やらなければならないとされていることのうち、できることは何かを見つけてください。中途半端でかまいません。

大切なことは、いち早く「演習」をすることです。演習をすることで、改善項目が明らかになります。視点の中心は「自社にとって、最重要点は何か」ということです。演習を繰り返すことによって、事業継続に対する能力が上がってきます。穴埋めの帳票を埋めることが大切なのではありません。もしかすると、埋まらない項目は会社の事業継続に対して、それほど重要ではないのかもしれません。準備に時間をかけるのではなく、演習に力を入れる(回数を増やす)、これが強い企業へと変貌させる要因の代表だと考えると事業継続計画への取り組みもやりやすくなると思います。

(大塚商会ウェブサイトより転載)

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