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「カテゴリー別リスクマネジメントの進め方」第2回: 品質リスクマネジメントを考える

掲載:2016年09月01日

執筆者:代表取締役社長 副島 一也

コラム

品質管理活動が形骸化してしまうことがよくあります。そこで今回は、品質マネジメントについて、(1)ルール、(2)仕組み、(3)企業風土の三つの側面から課題と対応策を考えていきます。

         

品質管理の三つの側面と課題

前回のコラムで人的なリスク管理について書きました。人の問題は多岐にわたり、あらゆる企業経営の側面に影響を与えるものですが、それらが落ち着いてくると精神的に楽になってきます。

さて、人の問題が解決し、順調に仕事が取れてきて社員も精力的に仕事をこなしてくれます。しかしながら、仕事が増えてくると品質に関する事故も発生してきます。今回はそうした品質の問題にどう取り組むかについて考えていきます。

今回の品質管理を考えるの当たっては、(1)ルール、(2)仕組み、(3)企業風土の三つの側面に注目しながら、どんな課題があるのか、またそれらにどう対応していくのかを整理していきたいと思います。

1.ルールに関する課題
  • 品質管理は事務局や品質保証部の仕事となっている
  • 事務局と各現場の相互理解が十分でない。
  • ほぼ使われていないルールや文書が多数存在する
2.仕組みに関する課題
  • ISO9001を始め、外部による審査が行われる際には、そのための文書が作成され、後付けで記録を残し、実際の業務の見直しはされていない。
  • クレームやヒヤリハットが報告されず、共有もされない。
3.企業風土に関する課題
  • 月次の売り上げや利益確保、納期遵守ばかりが重視され、品質管理の工数はおざなりにされることがよくある。
  • 社長自らがクレーム対応や品質改善の陣頭指揮にあたることがなく、重視している姿勢が見られない。

品質リスクマネジメント実践のヒント

では、こうした課題が自社にもあるとするならば、それらにどう対応していくのか?

1.ルールに関する対応策
  • 品質管理の活動の主体を現場であると定義し、事務局の役割は最小化する
  • 使っていないルールや文書を全て洗い出し、現場が主体となって、必要のない守れないルールなら捨てられ、必要なら守れるルールを設定する
2.仕組みに関する対応策
  • 必要で最低限のルールのみを運用し、バックデートによる証拠づくりの運用は一切やめる。
  • ヒヤリハット、事故などを全て記録し、ルールが有効なのか検証を続け、必要な改訂を続ける
3.企業風土に関する対応策
  • クレーム対応や品質管理を実施すると社長自らが宣言し、陣頭指揮を執って活動する。

品質管理は証拠づくりやつじつま合わせのためにするのではありません。それにもかかわらず、そうした活動になってしまうこともよくあります。中堅・中小企業ではそんな非効率なことをやっている場合でないのは明らかです。社長自らが品質向上のために大ナタを振るいましょう。

大塚商会ウェブサイトより転載)
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