MCA(Multi-Channel Access Radio System)とは、電波を利用した無線通信方式の1つであり、近年、事業継続戦略、すなわち被災時の拠点間通信手段のソリューションの1つとして注目されている技術です。
MCAとは
"Multi-Channel Access(マルチチャネルアクセス)"という名称は、限られた周波数の有効利用を図るために、あらかじめ複数の周波数を用意しておき、利用(占有)状況に応じて、都度、空いている周波数を複数のユーザ間で自動的に割り振りながら使い分ける方法にもとづくものです。
ちなみに、MCAはあくまでも”方式”であるため、この方式に基づいたサービスを提供する通信事業者により、サービス名は異なっています(例:エムシーアクセス(移動無線センター、JSMR(日本移動無線システム)など)
MCAの特徴は?
カーショップなどで取り扱っているトランシーバは、無許可で利用できる機器のため電波のパワーが小さく通信距離が数百メートル以下に限定されるのに対し、MCAは、カバーエリアが広く、その範囲は数十キロ以上です。
このほか、MCAの特徴をまとめると以下にようになります。
メリット
- カバー範囲が広い
- 秘匿性に優れる
- 一拠点からの複数拠点への一斉同報通信ができる
- 災害時でも混雑しない
- 車の中でも通信が許可されている※1
- ほとんどの中継局(制御局)が耐震性があり災害に強い
デメリット
- 一回の通話時間が制限されている(アナログ1分~3分、デジタル2分~5分)
- 双方向同時通話ができない(トランシーバー方式での片通話繰り返し)
※1. 道路交通法上、無線通話装置のうち「その全部又は一部を手で保持しなければ送信及び受信のいずれをも行うことができないもの」に該当しない場合(例えばハンドマイクおよび固定型スピーカーによるものは、手持ちしなくとも受話はできるので該当しない事となる。タクシー無線等の車載タイプの物等。)は、適用が除外されている
主な用途
MCAは、一斉同報通信ができることから、タクシーやバス、運送事業者において多く利用されています。また、災害耐性があることから地方公共団体、水道・電力・ガス・通信事業者などの社会インフラを支える組織・団体においても利用されています。このほか、各企業のメンテナンスや営業活動、食品配送などに利用されています。