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用語集

リスクファイナンス

2011年10月24日

リスクファイナンス(※)とは、事業継続戦略(BC戦略)の1つであり、企業の財務面におけるリスク対策を指します。より具体的には、突発的に予期しない大事故や災害が発生した際に、経営への資金的なインパクトを必要最小限に抑えるための対策です。

リスクファイナンスの考え方には大きく「リスク保有」「リスク移転」の2種類があります。「リスク保有」とは、文字通りリスクを保有、すなわち受容するという意味で、予め蓄えておいた自己資金(内部留保)を持って対応することを指します。「リスク移転」とは、保険など第三者に資金的なリスクを移転させる(負担させる)方法を指します。一般的な例としては”地震保険”がこれに該当します。

(※)ISO31000におけるリスクファイナンスの定義
財務的なインパクトが発生した際の資金調達に関わる対応策であり、リスク対応策の1つである。

「リスク移転」の種類

先述したとおり、「リスク移転(第三者に資金的なリスクを移転させること)」と言えば、”地震保険”が真っ先に思い浮かびますが、これ以外にも企業には様々な選択肢があります。以下は、「リスク移転」の代表的なものです。

≪地震保険≫

損害保険の一種であり、地震や噴火またはこれらによる津波などを原因とする火災・損壊・埋没または流失によって保険の対象(建物や家財)が損害を受けた場合に、保険金が支払われる保険を指す。建物の損壊状況(例:半壊か損壊か、など)の査定に時間がかかる、という点で比較的難ありとされている。

≪CATボンド(Catastrophe Bond)≫

自然災害リスクを証券化して発行する社債の一種。一定水準以上の自然災害が発生した場合(例:首都圏でM7が観測された場合とか、○○の地震計で震度6強が計測された場合、など)には、あらかじめ契約で定めた条件にしたがい、当該ボンドの発行会社が一定金額を受け取ることができる。

一般的な地震保険と異なり、被害が支払い条件を満たしたかどうかの確認がすぐに行えることから、発行側は短期間で金額を受け取れるというメリットが、また負担する側には、最大どの程度まで負担する可能性があるのかが事前に分かるという点で、メリットがある。ちなみに、契約期間中に自然災害が発生しなかった場合は、投資家(証券を購入した)側は、元本に加え、通常よりも高い利率の利払いを受けとることができる。

≪CATローン(または、コンティンジェント・デット)≫

一定水準以上の自然災害が発生した場合には、あらかじめ契約で定めた条件にしたがい融資枠上限まで、借り入れを行うことができる仕組み。ただし、契約締結時にオプション料であるローン予約料を支払う必要がある。ちなみに、一般的な融資枠予約契約をコミットメントラインと呼び、これと仕組みは同じだがCATボンドは有事においても貸し手側が免責されない、という点で大きく異なる。

 

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リスクファイナンスの事例

東日本旅客鉄道(JR東日本)は、保険会社と最大710億円の地震保険契約を結んでいたことから、1千億円強ともされた東日本大震災の財務面へのインパクトを和らげるのに一役買ったと言われています。

また、オリエンタルランド社の過去の事例では、東京ディズニーランドやディズニーシーの被災を想定し、舞浜を中心とした半径75Kmの円の範囲内で地震が発生した場合に、同社が1億ドルの元金を特別利益として受け取るCATボンドを発行したり、同条件下で3年間金利の支払いが免除される1億ドルの債券発行を予約するCATローンの仕組みを導入したとされています。さらに近年の東日本大震災発生時点では、総額300億円のCATローンによるリスクファイナンスを実施していたとされています。

(文責:勝俣 良介

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