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ガイドライン

市町村のための業務継続計画作成ガイド

2016年03月24日

「市町村のための業務継続計画作成ガイド」とは、平成27年5月に内閣府から全国の市町村の災害対応力を向上させることを目的として発行された、BCPのガイドラインです。本ガイドラインでは人口1万人に満たないような比較的規模の小さい地方自治体も対象としています。

地方公共団体向けのガイドラインとしては、平成22年に内閣府にて策定された「地震発災時における地方公共団体の業務継続の手引きとその解説」がありました。しかし、比較的大きい自治体を前提として作られたものであったため、規模の小さい市町村では使いづらいという声が上がっていました。こうした背景から、策定されたのが当該ガイドラインです。

市町村において業務継続計画が必要な理由と本ガイドラインの意義

そもそも、業務継続計画はなぜ地方自治体に必要なのでしょうか。それは、有事の際に行政が果たす役割がものすごく大きいためです。では、有事の際に行政が果たす役割とは何でしょうか。避難所運営に始まり、安否情報の収集、住民への情報伝達等が挙げられます。例えば適切な避難所運営がなされないと、住まいや逃げ場を失った人たちの集まる場がなくなり、生命の危機につながりかねない事態となります。

そうした中、近年、日本では様々な災害が頻発し、大規模な災害がいつ発生してもおかしくない状況です。にもかかわらず、業務継続計画の現状の策定率は、都道府県単位では60%、市町村では13%という結果となっています。(平成25年8月現在 消防庁調べ)

策定率が低い傾向としては、小規模の市町村での策定率が低いことが挙げられます。したがって、小規模の市町村での策定率を上げることが、市町村、ひいては日本全体の災害対応力を上げることにつながります。そのため、この課題を解決するために策定されたのが、当該ガイドラインである、ということもできます。

「首長不在時の明確な代行順位及び職員の参集体制」様式

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本ガイドラインは、わずか13ページで構成されています。前述の「地震発災時における地方公共団体の業務継続の手引きとその解説」は73ページですから、どれだけこのガイドラインがシンプルであるか、深読みをすると規模の小さい市町村が業務継続計画を策定するにはここまで省略しないと困難であることがうかがえます。

まず、業務継続計画とは、という部分から全体像、策定することの効果について説明があったのち、以下の6つの要素を「特に重要な6要素」として、掲げています。この要素に対して、どのように整備・導入・運用・改善をすればよいかについて、解説しています。

【業務継続計画の特に重要な6要素】
  1. 首長不在時の明確な代行順位及び職員の参集体制
  2. 本庁舎が使用できなくなった場合の代替庁舎の特定
  3. 電気、水、食料等の確保
  4. 災害時にもつながりやすい多様な通信手段の確保
  5. 重要な行政データのバックアップ
  6. 非常時優先業務の整理
この「特に重要な6要素」は、震災といった災害はとりあえず置いておき、原因となる災害がもたらす「結果」‐庁舎や電気、データ類が喪失した場合の対応に特化しているのが特徴です。これも前述の「地震発災時における地方公共団体の業務継続の手引きとその解説」とは大きく異なる点です。

また、巻末には本ガイドラインの補足としてQ&Aがあり、6要素に対する考え方について具体例を挙げています。ちなみに、冒頭で触れた「地震発災時における地方公共団体の業務継続の手引きとその解説」と合わせて使う必要はなく、これ1冊を参照すれば必要な情報が入手できます。

当該ガイドラインの特徴について述べますと、「地震発災時における地方公共団体の業務継続の手引きとその解説」では、被害状況の想定や経営資源分析等を行うこととされていましたが、本ガイドラインでは、前述したように検討すべき項目が6要素に絞られ、各要素1ページで説明されており非常にシンプルです。

また、検討すべき様式が添付されており、比較的知識がない方でもこのガイドラインを参照することで、スムーズに策定を進めることができるよう配慮されています。 例えば、「(1)首長不在時の明確な代行順位及び職員の参集体制」検討に係る様式は以下となります。
 

ガイドを活用して業務継続計画を作成する際のポイント

本ガイドを利用して計画を策定するにあたって、ガイドではポイントがいくつか記載されていますが、要約すると3つに絞られます。それは「全庁的な検討体制の構築」「リーダーとして首長の関与」「訓練等を通じた継続的な改善」です。

「全庁的な検討体制の構築」とは、検討体制には、非常時優先業務の所管部署、また、その実施に必要な資源(庁舎、職員、電力、情報システム等)を所管する部署、そして業務継続計画のとりまとめを担当する部署を始め、全部署が検討に参画することです。 「リーダーとして首長の関与」とは、首長自らがリーダーシップを発揮することを指しています。業務継続計画の策定は、全庁に関わるプロジェクトになるため、災害時に責任を負う主張が率先して取り組まなければうまくいきません。これは、非常時優先業務の整理や必要資源の配分等を検討する際には、部門を越えた優先順位等の合意形成が必要となるためです。

「訓練等を通じた継続的な改善」とは、計画の実効性を確認し、高めていくことです。業務継続計画は一旦策定すればよいというものではなく、教育や訓練を繰り返し実施していくことで、実効力を向上させていくことが重要です。そのためには、教育や訓練の計画等を策定し、これに従い着実に実施することが必要となるのです。

翻って、事務局だけで策定する計画や、首長がリーダーシップを発揮しない計画、また訓練を行わずPDCAサイクルが回らない、継続的な改善がされない計画では実効力は向上しません。 行政自らが被災した時でも、災害対応等の業務を適切に行うための「実効力ある業務継続計画」を策定することが、地方公共団体には求められているのです。

なお、当該ガイドライン、並びに様式は内閣府防災情報のページで入手することができます。

(文責:滝沢 紀子

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