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ガイドライン

ISO22398(演習に関する指針)

2015年06月08日

ISO22398は、演習に関する指針であり、国際規格であり、ISO223シリーズのファミリー規格です。当該規格は2013年に発行されましたが、2014年にJIS化されています

「演習」とは、当該規格によれば「組織内で、パフォーマンスに関する教育訓練を実施し、その実態を把握し、練習し、改善するプロセス(ISO22398 箇条3.5演習より引用)」と定義されています。ちなみに「演習」は英語で“exercise”と表記します。“exercise”には「行使する」という意味がありますし、そもそも“exe-”が「能動的な行為」という意味を含んでいることからも、「演習とは、能動的活動を通じて、パフォーマンス改善を図る行為である」と捉えるとより理解しやすいでしょう。

また、「ISO223シリーズ」とは社会セキュリティをテーマにした国際規格群を指しています。社会セキュリティの代表的な規格には、ISO22398のほかにも、ISO22301(事業継続マネジメントシステム-要求事項)、ISO22313(事業継続マネジメントシステム-指針)、ISO22320(危機管理-危機対応に関する要求事項)などがあります。

※「JIS Q 22398:2014 社会セキュリティ-演習の指針」と表記されますが、本稿では簡便化のため、以後ISO22398で統一表記します。

■ISO22398の特徴とは

ISO22398の特徴の1つには、「演習」においてWHAT(何をすべきか)について、他の規格よりも深く掘り下げている点にあります。中には、具体的な事例を指し示している場合もあります。たとえば、規格中「演習パフォーマンス目標」という用語が登場しますが、目標の一例として「特定の力量の習得を目指して、個人又はグループの知識、技能または能力を強化する(ISO22398 序文より引用)」を挙げるなどしています。こうした解説は、事業継続マネジメントシステムの規格ISO22301やISO22313では触れられていない内容です。

もう1つの特徴は、WHAT(何をすべきか)のみならず、HOW(どう実施できるか)についても言及していることです。たとえば、規格中に演習の種類の例一覧(例:警報発令演習、意思決定演習など)や、演習の方法の例一覧(討論主体のゲーム、ワークショップなど)を掲載しています。さらには演習シナリオの作成方法についても言及しています。

■ISO22398の構成

ISO22398は全体で約50頁弱です。全6箇条+5つの付属書から構成されています。全箇条の核とも言える部分が箇条4~6です。
箇条No
項 目
4 演習プログラムの計画策定,実施及び改善
5 演習プロジェクトの計画策定,実施及び改善
6 継続的改善
ISO22398 目次より引用

ISO22398がこのような構成をとったのには当然、理由があります。ISO22398は、「演習」というプロセスは「演習プログラム」と「演習プロジェクト」という2つの要素から成るものである、と考えています。ここで「演習プロジェクト」とは、具体的にはたとえば「安否確認訓練」や「避難訓練」などのことであり、言わば「演習」における活動の最小単位とも言えるものです。また「演習プログラム」とは、これら複数の「演習プロジェクト」群からなる一連の活動のことです。

たとえば「本社において、絶対に死傷者を出さない体制作りを推進する」といったことを演習目的に掲げた組織があったとします。そのためには「社員全員で避難訓練を実施する」、「自衛消防隊に対して技術訓練を実施する」、「マネジメント層に対して災害対策本部立ち上げ訓練を実施する」などといった教育訓練実施を挙げることができます。これら1つ1つの演習が「演習プロジェクト」であり、この例にようにどのような「演習プロジェクト」を何本立ち上げればいいのか、結果をいつどうやって振り返るのか・・・などを定めたものが「演習プログラム」にあたります。

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【図: 箇条4~6の示す範囲と関連性】

ISO22398の用途

ISO22398は「演習」に携わられる関係者全ての方の参考書になりうる規格ですが、そこに書かれている内容は、あくまでもヒントであり、みなさま一人一人の組織にぴったりと合致する解答を示したものではないことに留意が必要です。

先述しましたようにISO22398は「演習」のあり方・やり方を深掘りした規格であり、単なる「演習」を、「次につながる演習」に昇華できるようにするための体系的なアプローチや考え方を示したものです。

したがって、とりわけ「今の演習のやり方にマンネリ化を感じている」、「ともすれば場当たり的な演習になりがちである」「次はどんな演習をすべきかわからない」など、継続性の観点で悩みを持たれている演習の実務担当者が、特に参考にすべき規格であるということができるでしょう。

(文責:勝俣 良介

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