「新型インフルエンザ業務継続計画書」は、経済産業省が鳥インフルエンザ(H5N1型)が国内で発生した場合の必要な対策を示した基本的な行動計画書(BCP)です。同時に、この行動計画書をどのようにメンテナンスしていくかについても簡単に触れていることから、BCM文書としての役割も兼ねています。
鳥インフルエンザを想定したBCP・BCM文書
当該計画書は、28ページの本文と15ページの参考資料から構成されています。(平成21年12月8日 経済産業省 発行)
本文)
- 第1章:業務継続計画の位置づけと基本的考え方
- 第2章:被害想定と業務継続への影響
- 第3章:継続すべき優先業務
- 第4章:業務継続のための実施体制
- 第5章:人員・物資などの確保
- 第6章:感染防止の徹底
- 第7章:業務継続計画の実施
- 第8章:業務継続計画の維持、管理など
参考資料)
- 勤務形態の検討(例)
- 各課室で把握・管理すべき職員の代替要員(整理の例)
- 各課室で把握・管理すべき在宅勤務の可能性(整理の例)
- テレワークについて
- 職場における感染防止策(例)
- 消毒剤及び消毒方法について
- 個人防護具
特徴は、網羅性と柔軟性
当該計画書の特徴の1つは、網羅性です。事実、新型インフルエンザ対策を考える際に通常、盛り込まれるべき項目について、そのすべてを体系的にカバーしています。
もう1つの特徴は、柔軟性です。項目ごとに記述される内容は、あまり具体的なものではなく全体を通じて「行動計画書」というよりも「行動方針書」に近いつくりになっています。鳥インフルエンザは不確定要素が極めて多いため、万が一、想定していたものと異なる事態が発生しても、その差異を吸収できるように柔軟性に主眼をおいているためです。
ただし、一部、粗すぎるように見受けられる箇所もあります。たとえば、業務委託先に対する対策について、当該計画書では「委託先に対しては極力、継続を要請する」と記載するにとどめており、こうした箇所については各組織で方法について決定する必要があります。
参考書として使うと便利
先述した通り、当該計画書には、通常、鳥インフルエンザ対策において盛り込まれるべき項目がすべてカバーされており、なおかつ、それほど文書量の多いものでないことから、「鳥インフルエンザ対策では、どういったことまで考えておくべきか?」という疑問をお持ちのBCP構築担当者の方にとっては、1つのわかりやすい参考書として活用することが可能です。