-事業内容を教えてください。
当社は制御・検査装置のパイオニアとして、ウェブ制御装置やプロセス制御装置、検査装置の開発、生産、販売を行っております。これらの制御・検査装置は顧客の生産ラインの仕様に合わせて組み込まれ、そのほとんどがセミオーダーです。
ニレコの強みは、研究・開発スタッフと各拠点の営業担当、及び販売代理店との緻密な連携による「製販一体のマーケティング」と「顧客ニーズに即応した製品開発と最新技術の提供」です。
今回BCP策定に取り組まれた理由を教えてください。
東日本大震災において、迅速な対応や明確な行動基準の必要性を強く感じ、またサプライチェーン寸断の問題も大きく、何らかの対策を考えなければならないと考えていました。そのような時に東京経営者協会から東京都BCP策定支援事業の紹介があり、直ちに手をあげました。従業員の安全を確保することとお客様の生産に必要な装置の供給を継続することは、当社の基本的な責務と考えていますので、この機会を活かして社員の緊急避難、帰宅方針等の見直しや、事業継続に必要なデータ、設備・装置、外部サプライチェーン、委託先工場などのリスクを考慮した対策を考えたいと思いました。
-策定されたBCPの内容を教えてください。
今回はウェブ事業を対象にBCPを策定しました。売り上げが全体の約4 割を占め、急拡大しているスマートフォンやタブレット端末などの中小型パネル向けの生産ラインでの需要増が期待できること、及び競争が激しいことがその理由です。災害としては本社に一番影響が大きいと考えられる多摩直下地震を取り上げ、公表予測より厳しい震度6強を想定しました。
顧客の生産に必須の装置を提供しているため、製造業務の早期復旧が特に重要であり、そのために必要となる人員及び半製品・部品・材料の早期確保策、さらには製造や検査の設備・装置について万が一破損した場合の対応策を立てました。
まず発災後の迅速な顧客対応のため「顧客対応マニュアル」の作成と顧客対応情報の共有のシステム化を行い、そして破損チェック基準を明確化しておくことにより使用可能な半製品・部品・材料の早期確保を確実に行います。
さらに設備・装置の破損については、自社での点検、簡易修理能力の強化とメーカー・保守会社に対する緊急修理の依頼を行いますが、今後は調達先の分散の検討も行っていきます。
対象事業 | ウェブ事業(耳端位置制御装置(EPC・標準品)の製造) |
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対象リスク | 多摩直下地震 |
被災シナリオ | ・デスクトップPCの20台が破損 ・サ-バ-が倒壊 ・顧客情報、受注残(データ)が利用不可能 ・製品、部品、材料:20%が破損 |
対策 | ・災害時顧客対応マニュアルの作成 ・顧客の問合せに対する迅速な対応体制の構築 ・サーバ・バックアップシステムの構築 ・製品・半製品・部品・材料及び設備・装置の迅速な確保 ・調達先の分散 ・実地を含む定期的訓練の実施 |
備考 | ・発電機またはバックアップ電源を検討予定(充電・照明・サーバ・PC用) |
-何か新たな気付きはありましたか?
BCPに関することはすべて初めての経験でしたので、ガイドしていただいた手順に従って必死になって皆で考えたというのが実感で、目から鱗(うろこ)が落ちるような感じを何回も体験しました。例えば、災害発生後、第一に必要な顧客対応は営業の個人任せにするのではなく、標準的な手順をあらかじめマニュアル化することにより、より迅速で、的確な活動が可能となります。また、製品や半製品、部品の荷崩れに対する良品チェックもあらかじめチェック基準を明文化しておくことにより、より迅速に行うことが可能となります。
BCPを作成してわかったことですが、もしBCPが無かったとすると何か起きた時に多数の社員が混乱し、緊急対応にもっと長い時間がかかるのは間違いありません。いろいろな対策を考えましたが、大きな費用をかけなくても、すぐやれる事が多いということにも気付きました。
-BCPを策定した感想をお願いします。
東日本大震災の体験で災害対策の必要性はわかっていましたが、今回のBCP策定の経験により、まず自分自身の身を守る、その上で必要な行動を取るということについて自信のようなものが身に付いたと感じます。今後は全社員に対して教育や定期的な訓練を展開し、社員全員が同じ意識を持てるようにしたいと思います。