-事業内容を教えてください。
アースアプレイザルは、環境リスク評価を通じて、不動産の適正価値判断の基準を社会に提供する、環境ソリューション企業です。平成14年の設立以来、多くのお客様に支えられて累計数千件の環境関連調査を手がけて参りました。土壌汚染調査から始まり、近年ではアスベスト調査・分析及びコンサルティング、エンジニアリングレポートの作成、不動産鑑定、資産除去債務対応サービスと事業領域が大きく拡がっています。
-今回BCP策定に取り組まれた理由を教えてください。
これまでにもインフルエンザの流行時に注意喚起や消毒薬の設置、マスクの装着、予防注射接種の推奨など予防対策はしっかりやってきました。それが、東日本大震災を受けてお客様よりBCPの相談を受けるようになり、また、社内からも新しいビジネスの提案ができるのではという発案があり、まずは自分の会社で作ってみてお客様に提案できるようになりたいと考え、BCPの策定に取り組むことにしました。
-策定されたBCPの内容を教えてください。
今回は地震に対するBCP を策定しました。当社の提供するサービスは、不動産の適正価値の判断基準として、またM&Aや事業の再編、売却など、重要な経営判断材料として必要となります。そのため被災時には中断すべき案件と、継続すべき案件とに分けられます。今回のBCP策定では、災害時に継続すべき案件についてその対応までをまとめました。また、当社で特に重要な資産である個々の社員が持っているノウハウと作業を行うPCを含む情報資産をどのように守るのか、どのように復旧するのかについて対策を考えていきました。
非常時の行動指針としては、身の安全を確保すること、むやみに移動しないことを決めました。BCP文書ではすべてを想定して網羅することはできないので、この行動指針をすべての従業員に理解してもらうために防災訓練や安否確認の訓練など継続的な教育を実施していきます。
事業継続においては、4日目から事業の70%を回復するという目標を実現するため、災害時営業戦略をもとに限られた資源(人員含む)を効率的に稼働案件に投入すべく、新たに作成した緊急時資源配分マップを活用して対応していきます。
対象事業 | 環境調査等(ER/不動産鑑定/土壌汚染調査/アスベスト調査) |
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対象リスク | 東京湾北部地震 |
被災シナリオ | ・建物内への立入は可能だが、天井、空調機落下 ・サーバは倒壊 ・全PCの90%が倒壊し破損 |
対策 | ・社員に対する教育・訓練の定期的な活動 ・社内のレイアウト変更やPC・棚の固定 ・備品類の最低在庫量設定による運用管理 ・バックアップデータの確保 ・自社ウェブサイトからの被災状況等の広報 ・緊急時資源投入チームによる事業再開のための資源の投入 ・災害時営業戦略の実施 |
-何か新たな気付きはありましたか?
集合研修も含めて計5回のスケジュールを事前に確保することが非常に大変でした。事務局も私を長時間拘束することに抵抗があったようですが、策定し終わった今では、緊急時に意思決定を行う人物がプロジェクトに参加することは必要なことであったと理解しております。
BCPは、非常時のことであり特別な対応と考えがちでありますが、常日頃から現場を鍛え、信頼し、社員のやることを認める体制ができていれば指示しなくても現場で見事に対処できると思いました。そのためには、BCP を日常業務に取り込む必要があります。今回業務の流れを再度整理することで通常業務の中にも改善点を発見でき、災害時でも対応できる業務の方法に変更するなど、通常業務の見直しにも役に立ったと感じています。既存の運用のなかですべてが解決できるものばかりではありませんが、早速取り組んでいきたいと思います。
-BCPを策定した感想をお願いします。
BCP策定は、経営計画そのものであり、従業員全員が経営者の目線で考えるという当社運営方針の一環であると理解しております。事業を継続することは、従業員、従業員の家族、顧客、株主への責任を果たすことであり、企業経営そのものを意味します。顧客が安心して業務を依頼、実施できる体制を構築し、顧客に発信していきます。