事例紹介: 株式会社山櫻

株式会社山櫻 代表取締役社長 市瀬 豊和 氏

災害時も「今日来る」を実現するために、
より強い事業継続を

株式会社山櫻 ロゴ

代表取締役専務 市瀬 和敏 氏

想定リスク: 東京湾北部地震
業種: 製造業

-事業内容を教えてください。

当社の主な事業は紙製品(名刺・ハガキ・カード・封筒)の製造販売です。近年は、Webから名刺や封筒の注文を受けて印刷まで行う事業も増加傾向にあります。お客様には「今日来る」をキャッチフレーズにして物流のスピードアップと効率化を進めており、工場では、コスト・品質・納期の更なる向上を目指しております。都内7か所と横浜・千葉・大宮・大阪・名古屋・福岡の各支店は、営業拠点としての位置づけに加え、新木場にあるSakura Cube(物流センター)から運んだ紙製品の在庫保管場所としても機能しています。

-今回BCP策定に取り組まれた理由を教えてください。

東日本大震災では、八王子にある八王子の森工場(工場)で、数台の機械の位置がずれたり、足が外れてしまうということが起こりました。また、Sakura Cube(物流センター)では、紙製品の在庫が荷崩れを起こし、破損してしまいました。幸い、社員にはケガはありませんでしたが、防災対策を含めたBCPの策定の必要性を企業の責任として強く感じました。当社の人的リソースではなかなかBCP策定まで手が回らなかったため、東京都BCP策定支援事業を知り、全社的にBCP策定に取り組むことにしました。

-策定されたBCPの内容を教えてください。

当社が掲げる「今日来る」のキャッチフレーズの通り、既製品は、注文を受けた日に配送が期待されています。これを満たすためには、受注機能、倉庫・物流機能の早期回復が重要です。また既製品の補充、別製品の製造のために生産・加工機能も復旧する必要があります。

なかでも、受注は業務の出発点になりますので、平時の受注手段である固定電話やファックスが災害で停止状態の時の代替手段として、携帯電話やスマートフォン及びメールでの受注を検討し、3日目には受注を可能にする対策を検討しました。

倉庫・物流機能及び工場の生産機能については5日目に通常出荷・生産量の20%、公共交通機関回復後(7日目を想定)には同50%が可能となるように、基幹業務のサーバの耐震・防震対策とバックアップ、ネットワークの二重化、WMS(倉庫管理システム)端末の防震対策と予備機の確保など検討しました。

社員については営業部員の負傷や、公共交通機関の停止によるSakura Cube(物流センター)、八王子の森工場への出社不能等を想定しましたが、徒歩出勤可能な社員(協力会社も含む)で清掃片付け、機械設備の点検・整備を行い、早期稼働を目指します。

本社、Sakura Cube(物流センター)、八王子の森工場については十分な耐震性を備えていますが、都内の一部支店は問題が発生する可能性があり、またSakura Cube(物流センター)は周辺道路の液状化によってアクセスが不能になる可能性があります。その場合は八王子の森工場から各支店、お客様への配送、各支店からの配送など代替策を検討しました。

対象事業 紙製品(名刺・ハガキ・カード・封筒)事業 WEBサービス事業
対象リスク 東京湾北部地震
被災シナリオ ・ 負傷者30%、徒歩出社可能者は社員15%程度、パート・協力会社 50%程度
・ 周辺道路の液状化によるアクセス不可(物流センター)
・ 工場、物流センターの設備・機器に一部に被害
予防・低減策 ・ 本社:棚の防震対策、防災訓練教育の強化、断線に備えたネットワークのバックアップ回線確保
・ 物流センター:レイアウト見直し、動線・荷物の置き方の再検討
・ 工場:設備レイアウト再検討、巻取り(ロール紙)の転倒対策
代替策 ・ 徒歩出社可能社員による緊急時運用の強化
・ 設備・機器は稼働可能な予備機にて代替稼働
・ 工場から各支店、お客様先への直送体制構築

-苦労されたポイントや、新たな気付きはありましたか?

参加者全員が主体的に動き、策定できました。経営資源をここまで、総合的に細かく洗い出したことがなかったので、その結果様々な問題点も見え、今まで考えられなかったことまで視野が広がり、良い効果が生まれたと思います。当社は多くの協力会社との深い関係性を持っているため、協力会社に対してお互いのためにBCP策定のメリットを強調し、展開していこうと思います。

今回で、BCPの第1版はできましたが、定着・運用はこれからで、当社は従業員数、部門数が比較的多く、取引先・協力企業も多いので、ここからが本当のスタートだと考えています。被害想定やシナリオをさらに整理し、課題点や問題点が見えてきた安否確認・基幹システム・拠点の配置・製品在庫の面でも解決策の検討を進めたいと思います。製品在庫を極力持たないという方針と折り合いながら、事業継続策の最適解を見つけていきたいと考えています。

また、すでにBCP対策の一環として手形の電子化の仕組みを導入し、災害時の手形紛失リスクについては、対策を講じております。これからも、できることから準備を進めてまいります。

-BCPを策定した感想をお願いします。

今回行った演習では、役員が負傷したり、出張中という状況のなか、社員が主体的に判断を迫られるような演習を行いました。実際の災害時でも、しっかりと事業継続ができるBCPにしていきたいと思います。

BCPの視点で物事を考えた際、会社を強くする改善点が見えてきます。なかでも、「人が最重要経営資源であること」と「製造業として生産を止めないこと」が重要だと再認識しました。社員の安全確保を第一に、今後も一歩一歩レベルを上げていきたいと思います。

株式会社山櫻 BCP策定プロジェクトメンバーの方々

関連サービス詳細

プロジェクトメンバー

代表取締役専務 市瀬 和敏 氏
コーポレートコミュニケーション部門 川村 直弘 氏
コーポレートコミュニケーション部門 磯部 豊 氏
総務部門 島崎 絵美 氏
マニュファクチャリング部門 技術G マネージャー 寺川 英彦
ロジスティックス部門 工務管理G マネージャー 室町 悦宏 氏
IT統括部門 武藤 克典 氏
会社情報
称号: 株式会社山櫻
本社所在地: 東京都中央区新富2-4-7
設立: 1948年2月 (創業:1931年5月)
資本金: 8,000万円
従業員数: 532人
代表者: 代表取締役社長 市瀬 豊和
事業内容: 紙製品(名刺・ハガキ・カード・封筒)事業 WEBサービス事業
URL: http://www.yamazakura.co.jp

(2012年12月末日現在)