AIの利活用で都民のQOL向上と持続的成長を目指す、「東京都AI戦略」を策定・公表 東京都
東京都はこのほど、「東京都AI戦略」を策定・公表しました。「東京都AI戦略」では、東京都が目指す「2050東京戦略」の実現を加速させるための中核技術としてAIを位置づけたもので、東京都がAIと向き合う際の基本的な考え方や取り組みの方向性が示されています。
「2050東京戦略」で東京都は、2050年代までに都民がQOLの向上を実感できる社会と、世界を牽引し持続的に成長する都市の実現を掲げています。AIを都政で利活用することで、多様化・複雑化する都民のニーズや今後想定されている人口減少による労働力不足への対応、産業の成長とイノベーションを牽引する取り組みや人材育成を推進していくとしています。
AI利活用の基本方針には以下の5つを挙げ、都民サービスの質の向上と業務の生産性の向上を目指すとしました。
- 常に都民の利便性向上、QOL向上に貢献することを第一義とする
- AI導入自体を目的化せず、手段として活用する
- 最終的な判断や責任は人間が担うことを原則とする
- リスクを理解し、倫理性などにも配慮しつつ都民が信頼できるAI利活用を図る
- 先進的なAI技術や知見を取り入れ、連携・協働を推進する
具体的には、AIの機能である「音声認識」「文字認識」「画像・動画認識」「数値予測」「マッチング」「最適解表示」を実際の事業や業務に当てはめる必要性があるとして、業務領域と各領域における技術水準を整理しています。
例えば、申請・通知や窓口の問い合わせなどの都民サービスにおいては、申請書の入力項目や内容をAIにより案内することや各ライフステージで起こりうるリスクをAIで予測し、個人の状況に応じた備えをサポートすることを利活用イメージとして示しています。
AIの利活用にあたっては都民や事業者から信頼と共感を得ることが重要であるとして、特に「透明性」と「公平性」に留意しながら進めていくことを明記しました。
透明性については、「AIがどのように機能し、なぜ特定の決定や予測に至ったのか理解可能な状態にしておくこと。また、その情報を可能な範囲で公開するなど、留意事項への対応が都民へ説明されていること」、公平性については「AIモデルに含まれるバイアス(偏見)によって、特定の個人や集団が不当な差別を受けたり、不利益を被らないようにすること」と説明しています。このほか、安全性、プライバシー、セキュリティ、アカウンタビリティを留意すべき事項として明示しています。
国際競争力を高める取り組みでは、民間企業や大学、研究機関との連携を強化し、AI活用促進による中小企業の生産性向上やスタートアップとの協働、データ利活用環境の整備を挙げました。社会全体のAIリテラシーを向上させ、教育現場での活用や高度AI専門人材の育成など、多層的な人材育成も推進するとしています。