レガシーシステム
掲載:2024年10月01日
用語集
レガシーシステムとは、古い技術や仕組みで構築された、いわば「時代遅れ」のシステムのことです。「レガシー」という言葉は「遺産」や「遺物」を意味し、その名のとおり、過去から受け継がれてきたシステムを表現しています。レガシーシステムの存在は、デジタルトランスフォーメーション(DX)の足枷になっているとして、脱却が求められています。
レガシーシステムとは
レガシーシステムとは、技術的に古くなった「時代遅れ」のシステムを指します。特に、メインフレームやオフコンと呼ばれる、1980年代から1990年代に広く導入されたシステムが代表的です。その多くは、COBOLやFortranなど、現在は採用されない古い言語で開発されています。
何をレガシーシステムと呼ぶかは、時代や環境によって変わるものです。メインフレームやオフコン以降のオープン系システムであっても、最新の技術と比較して陳腐化していれば、レガシーシステムと呼ばれる場合もあります。
レガシーシステムも、構築当時の技術水準では最先端であり、企業の基幹業務を長く支えてきました。しかし、IT技術が飛躍的に進歩する中で、新しい技術やシステムとの互換性や拡張性に問題を抱えるようになっています。レガシーシステムは、長年の運用で安定性が実証されている一方で、現在ではDXの妨げとなっていることも事実です。
レガシーシステムが直面する「2025年の崖」
「2025年の崖」とは、日本企業がDXを実現できない場合に直面する可能性がある、危機的状況を指す言葉です。経済産業省が2018年に公表した「DXレポート」で、警鐘を鳴らし注目されました。主にはレガシーシステムが利用するCOBOLなどの古い言語を使えるエンジニアが定年を迎えることや、レガシーシステムのサポートが終了になる、または老朽化が進む時期なのです。
DXレポートによると、複雑でブラックボックス化したレガシーシステムを抱える企業では、以下のような問題が顕在化すると予測されています。
- システム維持費の増大
- DX未達によりデジタル競争に敗北
- 技術者不足
- セキュリティリスクの増大
その結果、DXが進む海外に対して日本企業の国際競争力が低下。試算によると、2025年以降、年間で最大12兆円の経済損失が生じる可能性があるとされています。
レガシーシステムの刷新状況
2025年が間近にせまり、レガシーシステムの刷新は進んでいるのでしょうか。
情報処理推進機構(IPA)が公表した「DX動向2024」によると、2023年度時点でレガシーシステムは、徐々に減少傾向にあり刷新が進んでいると評価されています。下図のとおり、「レガシーシステムはない」「一部領域にレガシーシステムが残っている」の回答割合が2022年度の40.4%から、2023年度には58.0%に上昇しました。
業界別に見ると、金融業・保険業がレガシーシステムが残っている割合が高い状況です。金融業界に残る、大規模かつ複雑な基幹系・勘定系システムの刷新が進んでいないものと見られます。
レガシーシステムから脱却する方法
レガシーシステムからの脱却にはさまざまなアプローチがあり、以下の3つが代表的です。
モダナイゼーション
既存のレガシーシステムの機能やデータを、基盤となる技術やアーキテクチャを現代的なものに置き換える方法で、性能向上や機能追加、最適化など、バージョンアップを伴うケースが多い
マイグレーション
既存のレガシーシステムからデータや機能を新たな環境に移行する方法で、基本的に機能そのものや要件は変わらない
クラウド移行
既存のレガシーシステムから、クラウドベースのプラットフォームに乗り換える方法
どれか1つではなく、複数のアプローチを組み合わせて採用するケースもあります。
レガシーシステムからの脱却は、単なる技術的な刷新だけではなく、企業の業務プロセスやビジネスモデルの変革をともなうことも少なくありません。短期的には大きな投資や労力を要しますが、長期的な競争力維持のために避けては通れない課題です。