首都直下地震発災時における帰宅困難者対策ガイドライン発表
掲載:2012年10月10日
コラム
首都直下地震発災時における帰宅困難者対応のために企業が何を行うべきなのかを明示した「事業所における帰宅困難者対策ガイドライン」が2012年9月に発表されました。
帰宅困難者対策ガイドラインとは
本ガイドラインは内閣府(防災担当)及び東京都などで構成される首都直下地震帰宅困難者等対策協議会で2011年の9月から約1年にわたる協議をした結果の最終報告の一部に相当します。
協議結果は全体を網羅した「最終報告」と利用対象者別に対策をまとめた5つの「ガイドライン」として公表されており、企業であれば「事業所における帰宅困難者対策ガイドライン」を参照することで自社が取り組むべき帰宅困難者の対応を効率的に把握できます。
【ガイドラインの対象者と主な内容】ガイドライン名 | 対象者 | 主な内容 |
---|---|---|
事業所における帰宅困難者対策ガイドライン | 企業等 | 従業員を施設内待機させるための事前準備、災害時の手順等 |
大規模な集客施設や駅等における利用者保護ガイドライン | 大規模集客施設や駅の管理者 | 利用者を保護するための事前準備、災害時の手順等 |
一時滞在施設の確保及び運営のガイドライン | <確保> 国、地方公共団体、民間事業者 <運営> 施設管理者 |
一時滞在施設の確保のための役割分担施設を円滑に運営するための事前準備、災害時の手順等 |
帰宅困難者等への情報提供ガイドライン | 国、地方公共団体、民間事業者 | 帰宅困難者への適時・適切な情報を提供するため、関係機関間の連携、事前準備等 |
駅前滞留者対策ガイドライン | 駅前滞留者対策に関わる関係機関 | 駅前滞留者対策協議会の設立、概要、今後の展開の方向性等 |
ちなみに、今回の発表内容は3月に発表された中間報告に記載された対策と大きな変更はありません。
事業所における帰宅困難者対策ガイドラインの概要
「事業所における帰宅困難者対策ガイドライン」は最終報告の「第2章 一斉帰宅の抑制」と同様に企業が行うべき取り組みが「平常時」、「発災時」、「混乱収拾時以降」の段階別にまとめられています。
【事業所における帰宅困難者対策ガイドラインの目次】
はじめに
第1章 平常時
- 企業等における施設内待機のための計画策定と従業員等への周知
- 企業等における施設内待機のための備蓄について
- 平時からの施設の安全確保
- 従業者等との安否確認手段、従業者等と家族との安否確認手段の確保
- 帰宅ルールの策定
- 訓練等による定期的な手順の確認
第2章 発災時
- 企業等による従業員等の施設内待機
- 施設内に待機できない場合の対応
- 防災活動への参加
第3章 混乱収拾時以降
- 企業等における帰宅開始の判断
参考1:行政機関の取組
参考2:学校等における児童・生徒等の安全確保
参考3:施設内待機に係る計画(例)
帰宅困難者対策参考情報の決定版
協議会の最終報告とガイドラインでは備蓄品目とその目安、一斉帰宅抑制のフロー例、施設内待機に係る計画(案)など様々な帰宅困難者対策が具体的に提示されています。
【施設内待機に係る計画(案)】- 基本的な考え方
(1) 一斉帰宅抑制の意義と当該計画の目的
(2) 本計画に使用される用語の定義
(3) 一斉帰宅抑制の基本方針の明記
(4) 事業所周辺の被害想定・地域危険度の把握 - 事前対策
(1) 従業員等を施設内に待機させる際の判断基準
(2) テレビ・ラジオ・無線機などの情報入手手段の準備
(3) 従業員等の安否確認手段の準備
(4) 従業員等に対する備蓄の実施
(5) 建物の耐震性の確認やオフィスの家具類の転落防止対策等の実施
(6) 停電時に備えた非常用電源等の整備
(7) 来所者への対応
(8) 近隣の事業所及び自主防災組織との協力体制の確立
(9) 帰宅困難者対策訓練 - 発災後の対応
(1) 施設の安全性の確認の手順
(2) 従業員等の安否確認
(3) 情報の入手
(4) 従業員等への対応
(5) 来所者への対応
(6) 事業所周辺の災害活動に参加する場合の体制 - 混乱収拾後
(1) 従業員の帰宅を開始させる際の判断基準
(2) 帰宅ルール
具体的でわかりやすいこれらの情報は帰宅困難者対策を検討するにあたって非常に有益であるといえます。