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新型インフルエンザ対策ガイドライン

掲載:2009年02月25日

執筆者:取締役副社長 兼 プリンシパルコンサルタント 勝俣 良介

ガイドライン

『新型インフルエンザ対策ガイドライン』は、日本国内において活動を営む企業や個人向けの新型インフルエンザ対策のベストプラクティスです。なお、ここで言う「新型インフルエンザ」とは、2009年4月にWHOが警告を出した「新型インフルエンザA(豚インフルエンザH1N1)」、ならびに、従来からその脅威が取りざたされている「鳥インフルエンザ(H5N1型)」の両方を指しています。(平成21年2月17日:新型インフルエンザ及び鳥インフルエンザに関する関係省庁対策会議 発行)

         

『新型インフルエンザ対策ガイドライン』とは

「新型インフルエンザ」に関わるガイドラインは、経済産業省が出している「新型インフルエンザ対策に関する行動計画」やWHOが出している「グローバルインフルエンザ予防プラン」など、様々な機関から色々な形で公表されていますが、本ガイドラインは、数ある新型インフルエンザ向けガイドラインの中でも、多くの組織に最も参考にされているガイドラインの1つであるということができます。

『新型インフルエンザ対策ガイドライン』の特徴は

本ガイドラインの特徴は、大きく次の2点にあります。

1.網羅的であること
2.対策の足並みを揃えるための有益なツールであること

本ガイドラインは、以下に示す「本ガイドラインの構成」からも見てとれるとおり、単に一般企業を対象にしているだけでなく、個人や地域、医療機関や国内外への出入国を取り扱う組織などに対して、日本に所在する個人・組織が健全な生活を営むために欠かすことのできない分野全てについて対策指針を示しています。

また、日本政府機関(厚生労働省)から発表された内容であることから、日本国内におけるほとんどの組織が、本ガイドラインに示される考え方をベースに、自組織向けの行動計画を策定しており、他組織との考え方や計画の足並みを揃える上で非常に有益な指針であるということができます。

【本ガイドラインの構成】
  • 水際対策に関するガイドライン
  • 検疫に関するガイドライン
  • 感染拡大防止に関するガイドライン
  • 医療体制に関するガイドライン
  • 抗インフルエンザウイルス薬に関するガイドライン
  • ワクチン接種に関するガイドライン
  • 事業者・職場における新型インフルエンザ対策ガイドライン
  • 個人、過程及び地域における新型インフルエンザ対策ガイドライン
  • 情報提供・共有(リスクコミュニケーション)に関するガイドライン
  • 埋火葬の円滑な実施に関するガイドライン

『新型インフルエンザ対策ガイドライン』の利用の仕方は

このガイドラインの主な利用者は、日本国内において新型インフルエンザに対しての対策を考える、あらゆる個人・組織になると思われます。たとえば企業においては、組織の対策や行動計画を策定する役割を担う部門関係者(経営企画部やリスク管理部、総務部など)が対象になるであろうと考えられます。

つぎに、本ガイドラインの利用方法ですが、新型インフルエンザに関する基本的な情報(新型インフルエンザの特徴、被災した場合に想定されるシナリオ、一般的な感染防止策など)が記載されているため、まずは、組織・個人における基礎知識習得のための読みものとしての利用が考えられます。

また、本ガイドラインでは以下に示す「新型インフルエンザ対策で組織が行動計画を検討・確立すべきエリア」について触れていることからも分かるとおり、組織が、新型インフルエンザに対する行動計画を策定する上で、どのような種類の対策について、どのような内容をおさえておけばいいのか?といったことを考える際のチェックシートとしての活用が考えられます。

【新型インフルエンザ対策で組織が行動計画を検討・確立すべきエリア】
  • 新型インフルエンザ対策体制の検討・確立
  • 感染防止策の検討
  • 新型インフルエンザに備えた事業継続の検討
  • 教育・訓練
  • 点検・是正

最後に(留意点)

いずれにしましても、これまでに述べた特徴から、新型インフルエンザに対する対策を検討する場合には、まずは本ガイドラインをベースに取り組みをはじめることをお勧めいたします。

ただし、「本ガイドライン=組織の行動計画そのもの」ではないことに留意することが重要です。確かに、必要な最新の情報が集約されており、各組織がどのような対策を打つべきか指針を示した有益な1冊ではありますが、具体的な行動計画は、組織を取り巻くステークホルダーや組織の活動内容に左右される事項も多分にあります。また、本ガイドラインには「重要業務を特定するためのBIA(事業インパクト分析)の実施手法」などは各組織に委ねられるため、業界ごとに出されているガイドラインやコンサルティングファームの知見などを有効活用しながら、組織に合った行動計画を策定することが肝要です。
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