リスク管理Naviリスクマネジメントの情報サイト

インフルエンザウィルスについての基礎知識:性質

掲載:2009年09月28日

コラム

現在、世界的に流行しているインフルエンザは豚インフルエンザから変異したH1N1型で、弱毒性であるとされています。インフルエンザウィルスの「型」についてはインフルエンザの「型」についての知識の記事を参照していただきたいのですが、今回は、弱毒性・強毒性といった、インフルエンザウィルスの「性質」について整理します。

         

インフルエンザウィルスの性質を表す用語

下記にインフルエンザウィルスの持つ性質をまとめました。
性質 表し方 意味 用例
感染性
(*1)
有・無 他の宿主に感染することができるか? 感染性(の有る)ウィルス=他の宿主に感染することができるウィルス
感染力
(*2)
強・弱 他の宿主に感染する力の強さ 感染力の強いウィルス=他の宿主に感染し易いウィルス
病原性 有・無
or
高・低
宿主に対して病気を引き起こす能力があるか(又は高いか)? 病原性ウィルス=宿主に対して病気を引き起こす能力がある(高い)ウィルス
毒性
(毒力)
強・弱
or
高・低
どれくらい感染症を引き起こし易いか
どれくらい重症化し易いか
強毒性ウィルス=毒性の高いウィルス=病気(又は重い病気)を引き起こすウィルス
弱毒型 -- 呼吸器系にしか感染しない 弱毒型ウィルス=呼吸器系にしか感染しないウィルス
強毒型
(*3)
-- 全身(血液を通じて)に感染が拡がる 強毒型ウィルス=全身に感染が拡がるウィルス
(*1)(*2)「感染性」と「感染力」は、基本的には同種の動物に対する効力を指します。
(*3)インフルエンザウィルスのうち、強毒型に変異するのはH1とH7の2つの亜型だけに限定されます。

細かい用語で分かりにくいのですが、つまり、人命にとって重要な観点は、感染力が強いか弱いか、および強毒性(高毒性)か弱毒性(低毒性)かということです。強毒型から弱毒型かということはあまり関係ありません。
 

現在は弱毒性が流行、ただし変異の可能性も

最初に書きましたが、現在世界的に流行している新型インフルエンザはH1N1型で弱毒性です。また感染力は季節性インフルエンザよりも高いと言われています。この意味することは、このウィルスは:
  • 全身に感染が拡がらない
  • 弱毒性=重症化しない
  • しかし、感染力が高い
ということになります。これらは「人に対して」という意味です。

ただし、WHOは2009年5月12日に「インフルエンザウイルスは頻繁に変異する特性を持ち、どのように変異するかは予測不能なため、パンデミックが発生している間にウイルスが強毒性のものに変異する可能性は決して排除できない」と警告しています。

鳥インフルエンザは強毒性の場合もある

一方で、数年前から話題になり全世界的にその流行が危ぶまれている高病原性鳥インフルエンザについては、農林水産省が発生状況をまとめています。(記事下部の関連リンクを参照してください。)全てH5かH7の亜型で、強毒型も弱毒型もあります。まぎらわしいのですが、ここでの「高病原性」とは「強毒性」を指しているようです。つまり、高病原性鳥インフルエンザは
  • 感染が呼吸器系に限られている場合もあれば全身感染の場合もある
  • 強毒性=重症化する
ということが言えます。また、相当数の鶏が感染して(そして死んでいる)ということは、感染力も決して低くはないと想像できます。

鳥インフルエンザ(特にH5N1型)は人間への感染および死亡例もありますが、次のような点に関してはまだ分からないことも多く、何らかのタイミングで感染が増えた場合にはパンデミックに発展する危険性もあると危惧されています。
  • 人間同士における感染性(人間同士で感染は有り得るのか)
  • 人間同士における感染力(人間同士で感染し易いのか)
  • 人間における毒性(人間に対しても強毒性なのか)
  • 人間において強毒型なのか、弱毒型なのか
当社のWebサイトでは、サイト閲覧時の利便性やサイト運用および分析のため、Cookieを使用しています。こちらで同意をして閉じるか、Cookieを無効化せずに当サイトを継続してご利用いただくことにより、当社のプライバシーポリシーに同意いただいたものとみなされます。
同意して閉じる