
1年に1回じゃ動けない――。それはもう皆さんも体験済みのことでしょう。
先日、娘の高校の文化祭で保護者仲間と一緒にチヂミを焼きました。毎年恒例の取り組みですが、1年ぶりとなると段取りをなかなか思い出せず、最初は試行錯誤の連続でした。そのとき、隣で一緒に焼いていた親父仲間が「1年前のことなのに全然思い出せないんだよなあ」と漏らしていて、確かにその通りだと感じました。
幸いにも本番の1か月前に「試食会」を開いていたので、その場で練習した人は本番当日もスムーズに動けました。一方、試食会に参加しなかった人は段取りに苦戦し、最初のうちはどうしても動きが鈍くなってしまいました。やはり、人から説明を聞くだけでは頭に入らず、自分で手を動かしてみることが一番の学びになるのだと実感しました。
この経験は、企業のリスクマネジメント活動にも重なります。内部監査、マネジメントレビュー、BCP訓練――多くは「年1回」のペースで実施されます。しかし、年中行事のように「忘れないこと」が目的のイベントと、緊急時に実際に動けるようにする訓練とでは、本質的に求められるものが違います。いざという時に確実に行動できるようになるには、年1回だけでは記憶や技能の定着に不十分だと感じませんか。
文化祭の例でいえば、本番直前に一度体験をしておいた人は当日も自信を持って行動できました。同じように、BCP訓練や行動計画づくりも「誰かが作ってくれた文書を読む」だけでは定着しません。よく総務や事務局が立派な計画を整えてくれますが、人が作った計画は“自分ごと”になりにくいものです。自分が使う計画は、自分の頭で考えてこそ刷り込まれる。だからこそ、実際に行動する当事者が計画作りに関わることが何より重要なのです。
その意味で、BCPを本当に機能させるには「組織文化」として根づかせることが欠かせません。
- 日常的に「もし◯◯が起きたらどうしよう」と小さなインシデントを繰り返し想定し、それに備える習慣を全社員が持つ
- 属人化を避けるために、意識的に担当を入れ替え、誰でも対応できるようにしておく
- 社内イベントや定例業務を、あえて完璧に準備せず、当日のトラブルを“対応力を試す機会”にする
こうした工夫を積み重ねることで、いざという時に自然と「次の一手」が出てくる組織ができあがります。訓練もまた、その延長線上にあるからこそ実効性を発揮するのです。
当社では、このような「身につく訓練の進め方」について、小冊子や研修講座をご用意しています。ご興味のある方はぜひ以下からご覧ください。
- 小冊子:「なぜ、年1回のBCP訓練・演習が時代遅れなのか?-2030年、企業のBCPはこう変わる-」
- そのほかの小冊子はこちらから。
- 調査レポート:「BCPの事実と真実 ~実効性を生み出し、育み、養うために必要なもの~」
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- 研修講座:「e-learning(BCP訓練/演習編)」
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