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社長に読んでほしいISO学習塾<第3回>不適合は出してもらわなきゃ損

掲載:2017年04月04日

執筆者:代表取締役社長 副島 一也

コラム

社内業務改善だけでISO認証を維持できるのか? そんなことをしたら、不適合をたくさん指摘されるのでは? でも、不適合を出してもらわなければ損なのです。今回はその理由を紹介します。

         

ISOの認証マークが、そんなに必要なのか?

さて、前回のコラムで、ISOを使って社内業務改善をしましょうとお伝えしましたが、その方法で認証を維持できるのかという不安について、今回はお話ししていきます。

まず、申し訳ないことを言いますが、本当に認証が取れるのか、もしくは維持できるのかは分かりません。保証します、なんてことは言えません。それでも、やってみればいいじゃないですか、ということです。

そもそも、そんなに認証マークは必要なのでしょうか?ある一定期間、維持できなくなったとしてそんなに困るでしょうか?

まあ、これは極論ですが、ただ単に認証を維持する、不適合を出さないための嘘の業務活動報告を行うくらいなら、そんなもの止めたほうがよくないでしょうか?

人は試験に合格しなきゃダメだという強迫観念に襲われるものです。しかし、ISOの場合も、実際は認証マーク取得時期が少し遅れたり、一時的に途絶えたりするだけのことです。社長が普段抱えている多くの問題からしても、そんなこと大した問題ではないのではないでしょうか。もちろん、審査やり直しにかかわる費用や工数の増大などは実害となるでしょうが、認証マークがなくなってすぐに困るということも実はないという会社も多いです。

また、心意気として、いったん認証取り消しの覚悟すら持ってもよいのではないかと示しましたが、そんなことはそう簡単に起きません。認証取り消しになるのは「重大な不適合」が指摘される場合です。例えば、そもそも嘘で固めた書類を作成して審査対応をしていたとか、PDCAのどれかが全く欠落しているとか、そういった大変重大なレベルの指摘がされるケースです。簡単にそんなこと起きませんし、万が一出てきたとしたら、それは真摯に対応すべきでしょう。

「重大な不適合」と「軽微な不適合」では雲泥の差

さて、そうした覚悟のもと、審査員には10個以上指摘を出せなきゃ価値がないくらいに言いましょう。軽微な不適合などいくつ以上あったら重大な不適合に匹敵するなどという基準もありません。多くの不適合があることで、マネジメントシステム全体が機能していないという状況に陥っているかどうかです。

また、軽微な不適合を示された場合でも、審査員が全て正しいと決めつける必要はありません。審査員はあくまでも第三者の視点で指摘します。指摘された不適合の対応は会社によって、背景や方針、意思決定があるわけで、それらにどう対応するか決めるのは社長です。

指摘はありがたく受け取る、そしてどうするかは自分が決めればいいことです。審査員は貴社事業の結果に対して何かしらを保証してくれるわけではありません。言われるままに会社の仕組みを変えて、事業結果に悪影響を及ぼしたら、困るのは社長です。事業責任は社長が取るわけですから社長の責任で対応は決めるべきなのは当たり前のことです。

会社を良くするためにISOの要求事項を活用して改善を図るのが社長の仕事、ISOに縛られるのは本筋ではありません。どのような不適合があるかを審査するのが審査員の仕事。規格通りに作った、役に立たないけど結果は合格と分かっている審査なんかつまらないものです。自社の仕組みがどう審査されるのか、面白いじゃないですか、正々堂々、正直に審査に臨みましょう。

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