社長に読んでほしいISO学習塾<第1回>ISOをダメにする三大極悪人
掲載:2017年02月02日
執筆者:代表取締役社長 副島 一也
コラム
ISOマネジメントシステムの活動を「仕事の邪魔」だと考える企業経営者も少なくありません。新連載「ISO学習塾」の第一回では、ISOをダメにする三大極悪人について考察します。
ISO認証取得のための活動は、仕事の邪魔か?
何らかのISO認証を取得されている企業経営者から、「ISOマークは取引上必要だけど、認証取得のための活動は仕事の邪魔」というお声を聞くことがあります。しかしながら、あらゆるリスクマネジメントの活動をしていると、ISOマネジメントシステムの活動は大変有意義なものと断言できます。では、なぜそれが邪魔モノになるのか、そこにはISOの三大極悪人が大いに関わっています。今回はそのカラクリを明らかにしていきます。
三大極悪人 その1.認証機関
最初の極悪人はISOの認証審査を行う認証機関です。もっと言うと審査員です。審査は企業の業務プロセスや進め方のルールなどを確認していくのではなく、単に規格要求事項を項番順に聞いていくというやり方をすることがしばしばあります。
そこで登場するのが「○○マニュアル」です。例えば、品質管理マニュアルや情報セキュリティ管理マニュアルなどです。品質管理マニュアルがあるとするならば、それは自社の品質を守り、現場が利用するために必要にかられて作られたもののはずです。しかしながら実態は、ISO9001(品質マネジメントシステム)の規格要求事項の項番に沿って作られた規格焼き直しの審査対応だけのマニュアルになりがちです。こんなモノが必要なわけがありません。誰も使っていない嘘のマニュアルで審査は進められます。さあ、邪魔モノが現れ始めました。
三大極悪人 その2.コンサルティング会社
次の極悪人はコンサルティング会社です。ISOは本来、経営をサポートすべく品質向上や情報セキュリティ対策などを行うものです。しかし、コンサルが入って品質が良くなったとしても、認証が取れなかったり、たくさんの不適合が出たりすると、コンサルは責任を問われます。その結果、お金が入らなくなることを恐れます。そこで、合格保証や、合格するためのマニュアルや帳票を「押し付け販売」する手法がとられます。このマニュアルがあれば、「もう安心、合格は保証されます」ということです。こうして、お客様の業務改善や品質改善という目的はどこへやら、ということになってしまいます。
三大極悪人 その3.社長
最後に最も大きな影響を持つ極悪人は、社長、あなた自身です! ISO認証で不適合は出してはならない、もし出したら担当者を叱りつける、なんてことやっていませんか? 不適合がなく粛々と審査が進み、認証マークが保持される、そのための審査だと位置付けていないでしょうか? 軽微な不適合や観察事項などはいくつでも出してもらわなければ損、大損です。損をすることが嫌いな社長が、なぜ、損をしたいのでしょうか? 審査員は10個以上指摘を出せなきゃ価値がない、くらいに言えばよいのです。
また、そもそも機能するはずのない体制を組んでいませんか? ISO9001の取り組みをしているとすれば、それはマークを取るためでなく、お客様にご満足いただける品質を守るためのはずです。品質は会社の根幹なのに、指導力・権限・力量がない事務局に任せてはいませんか? またマニュアル作りを現場の人たちを入れずに進めていませんか? 自分たちが品質改善などで使うマニュアルは、自分で考えて作るから使えるのです。関係ない人が作っても関係ないものにしかなりません。「そんな時間をかけられないよ」という社長自身が、「邪魔モノISO」を生み出す元凶になっていないでしょうか。
このように、三大極悪人に関わる課題をいぶり出し、退治し、正しいISOマネジメントシステムの活動にしていくことが、会社の繁栄や危機管理につながると考えますが、あなたの会社ではいかがでしょうか。
(大塚商会ウェブサイトより転載)
三大極悪人 その1.認証機関
最初の極悪人はISOの認証審査を行う認証機関です。もっと言うと審査員です。審査は企業の業務プロセスや進め方のルールなどを確認していくのではなく、単に規格要求事項を項番順に聞いていくというやり方をすることがしばしばあります。
そこで登場するのが「○○マニュアル」です。例えば、品質管理マニュアルや情報セキュリティ管理マニュアルなどです。品質管理マニュアルがあるとするならば、それは自社の品質を守り、現場が利用するために必要にかられて作られたもののはずです。しかしながら実態は、ISO9001(品質マネジメントシステム)の規格要求事項の項番に沿って作られた規格焼き直しの審査対応だけのマニュアルになりがちです。こんなモノが必要なわけがありません。誰も使っていない嘘のマニュアルで審査は進められます。さあ、邪魔モノが現れ始めました。
三大極悪人 その2.コンサルティング会社
次の極悪人はコンサルティング会社です。ISOは本来、経営をサポートすべく品質向上や情報セキュリティ対策などを行うものです。しかし、コンサルが入って品質が良くなったとしても、認証が取れなかったり、たくさんの不適合が出たりすると、コンサルは責任を問われます。その結果、お金が入らなくなることを恐れます。そこで、合格保証や、合格するためのマニュアルや帳票を「押し付け販売」する手法がとられます。このマニュアルがあれば、「もう安心、合格は保証されます」ということです。こうして、お客様の業務改善や品質改善という目的はどこへやら、ということになってしまいます。
三大極悪人 その3.社長
最後に最も大きな影響を持つ極悪人は、社長、あなた自身です! ISO認証で不適合は出してはならない、もし出したら担当者を叱りつける、なんてことやっていませんか? 不適合がなく粛々と審査が進み、認証マークが保持される、そのための審査だと位置付けていないでしょうか? 軽微な不適合や観察事項などはいくつでも出してもらわなければ損、大損です。損をすることが嫌いな社長が、なぜ、損をしたいのでしょうか? 審査員は10個以上指摘を出せなきゃ価値がない、くらいに言えばよいのです。
また、そもそも機能するはずのない体制を組んでいませんか? ISO9001の取り組みをしているとすれば、それはマークを取るためでなく、お客様にご満足いただける品質を守るためのはずです。品質は会社の根幹なのに、指導力・権限・力量がない事務局に任せてはいませんか? またマニュアル作りを現場の人たちを入れずに進めていませんか? 自分たちが品質改善などで使うマニュアルは、自分で考えて作るから使えるのです。関係ない人が作っても関係ないものにしかなりません。「そんな時間をかけられないよ」という社長自身が、「邪魔モノISO」を生み出す元凶になっていないでしょうか。
このように、三大極悪人に関わる課題をいぶり出し、退治し、正しいISOマネジメントシステムの活動にしていくことが、会社の繁栄や危機管理につながると考えますが、あなたの会社ではいかがでしょうか。
(大塚商会ウェブサイトより転載)