竜巻発生確度ナウキャスト
掲載:2013年04月23日
用語集
強い竜巻やダウンバーストは、雲の中に低気圧性の回転(メソサイクロンと呼ばれる)を持つ特殊な積乱雲から発生します。このような積乱雲の発達には、大気の状態が不安定であること、鉛直方向の風向・風速の変化が大きいことが必要となります。
通常の天気予報で利用する数値予報という技術では、数百キロの規模を持つ低気圧や台風の予測は可能ですが、百メートル前後と非常に規模の小さな竜巻を直接予測することはできません。しかし、前記のような竜巻を発生させやすい積乱雲が発生する大気状態となることは予測できます。また、直径数キロメートル程度のメソサイクロンであれば、風に流される雨粒の速度を検出できる気象ドップラーレーダーを用いて、その存在を観測することが可能です。
気象庁では2010年5月から、気象ドップラーレーダーなどから「竜巻が今にも発生する(または発生している)可能性の程度」を推定して発生確度という用語で表す、竜巻発生確度ナウキャストが運用されていて、気象庁のホームページから利用することができます。
同様の気象予測システムとして、他にも、「降水ナウキャスト」「雷ナウキャスト」があり、これら3つを総称して、「レーダー・ナウキャスト」と呼ばれています。
竜巻予報システム(竜巻発生確度ナウキャスト)
竜巻発生確度ナウキャストでは、竜巻の発生確度を高い順に2と1で区分しており、それぞれ以下の定義となっています。
発生確度2:竜巻などの激しい突風が発生する可能性があります。急な突風の発生に対する注意が必要です。発生確度2が現れている県等には、竜巻注意情報も発表します。 (予測の的中率:5~10%程度、補足率:20~30%程度)
発生確度1:発生確度2よりは低いですが、竜巻などの激しい突風が発生する可能性が高い状況です。発生確度1は発生確度2に比べて頻繁に現れるので空振りも多くなりますが、竜巻などの激しい突風の発生を見逃すことが少ない情報です。
(予測の的中率:1~5%程度、補足率:60~70%程度)
工事現場における作業の中断・施設の安全確保など、負担の大きな対策の実施については、発達した積乱雲が近づく兆候など、現場の気象状況と合わせて判断するのが適切な対応です。
竜巻から身を守る方法
では、竜巻が間近に迫った場合には、どのようにして身を守れば良いでしょうか。
・屋外では、物置や車庫・プレハブ(仮設建築物)など、構造的に弱い建物の中は危険です。また、電柱や太い樹木であっても倒壊する危険性がありますので近づかないでください。ビルなどの頑丈な構造物の中に入るか、物陰に入って身を小さくしてください。
・屋内では、ガラスが割れたり飛翔物が飛び込んでくる危険性があるため、窓やカーテンを閉めた上で窓から離れてください。特に大きな窓の下や周囲は危険です。
窓のない部屋(トイレ、浴室など)が比較的安全です。通常の部屋の場合は、窓から離れて、丈夫な机やテーブルの下に入るなどで身を小さくして頭を守ってください。