コールド/ホット/ウォームスタンバイDRサイト
掲載:2009年11月16日
執筆者:取締役副社長 兼 プリンシパルコンサルタント 勝俣 良介
用語集
IT-BCPの世界では、プライマリリソース(本番用として稼働しているITシステムのこと。たとえば本番用サーバや、それらを設置している情報処理施設など)からバックアップリソース(予備のITシステムのこと。たとえば代替機やDRサイトなど。)への切り替えについて、その際の切り替え速度の観点から(速い順に)”ホット”、”ウォーム”、”コールド”という3種類の言葉が使われます。
ホット、ウォーム、コールドとは?
なお仮に、プライマリリソースをメインの車、バックアップリソースを予備の車にたとえるならば、「ホット」とは、バックアップリソース(予備の車)のエンジンをかけっぱなしにして待機させてある状態のことで、プライマリリソース(メインの車)に何か問題が発生しても、すぐに予備の車に乗り換えられるような準備がなされている形態を指します。
逆に、「コールド」とは、予備の車を用意しておくものの、エンジンはオフ、車の鍵もエンジンに差し込まない状態(言うならば引き出しに鍵をしまってある状態)で待機させておくことをさします。この形態では、予備の車をスタートさせるために時間がかかることになります。
また、「ウォーム」とは、ホットとコールドの中間にあたるものです。予備車のエンジンをかけっぱなしにしてはおかないものの、イグニッションに鍵を差し込んであり、必要に応じていつでもすぐにエンジンスタートができるような形態を指します。
逆に、「コールド」とは、予備の車を用意しておくものの、エンジンはオフ、車の鍵もエンジンに差し込まない状態(言うならば引き出しに鍵をしまってある状態)で待機させておくことをさします。この形態では、予備の車をスタートさせるために時間がかかることになります。
また、「ウォーム」とは、ホットとコールドの中間にあたるものです。予備車のエンジンをかけっぱなしにしてはおかないものの、イグニッションに鍵を差し込んであり、必要に応じていつでもすぐにエンジンスタートができるような形態を指します。
ホットスタンバイ、ウォームスタンバイ、コールドスタンバイとは?
「ホットスタンバイ」、「ウォームスタンバイ」、「コールドスタンバイ」とは、いずれも「予備サーバとしての待機の形態」を指します。
「ホットスタンバイ」とは、本番サーバ機に何か問題が発生しても、瞬時に予備サーバに切り替えられるソリューションです。予備サーバ上では、本番機とのデータの同期がリアルタイムでとられており、アプリケーションやOSなども、全て本番機と同じように設定済み(かつ起動済み)の状態です。したがって、瞬時に(数秒から数分程度で)予備サーバへの切り替えを行うことが可能です。少しでもダウンさせることが許されない極めて重要なITシステムに対して良く用いられるソリューションですが、コストが一番高くなります。
「ウォームスタンバイ」は、ホットスタンバイとコールドスタンバイの中間に位置するソリューションです。予備サーバが、本番サーバと同じ形で設定され用意されているものの、切り替え(復旧)までに何らかの作業(例:アプリケーションサービスを起動させたりするなど)が必要となります。したがって、この形態では切り替えに、分~時間単位でかかる可能性があります。
「コールドスタンバイ」は、予備サーバとして必要なデータや機材が、一通り事前に用意されているものの、本番機の代わりとして稼働させるための設定がほとんど行われていない形態です。本番サーバがダウンしてはじめて、予備サーバとして稼働させるために必要な設定やサービススタートを行わなければなりません。したがって、3つのソリューションの中では一番復旧に時間がかかります(日~週間単位でかかる可能性があります)が、一番安価でもあり、復旧要件が厳しくないITシステムに対して用いられるソリューションです。
「ホットスタンバイ」とは、本番サーバ機に何か問題が発生しても、瞬時に予備サーバに切り替えられるソリューションです。予備サーバ上では、本番機とのデータの同期がリアルタイムでとられており、アプリケーションやOSなども、全て本番機と同じように設定済み(かつ起動済み)の状態です。したがって、瞬時に(数秒から数分程度で)予備サーバへの切り替えを行うことが可能です。少しでもダウンさせることが許されない極めて重要なITシステムに対して良く用いられるソリューションですが、コストが一番高くなります。
「ウォームスタンバイ」は、ホットスタンバイとコールドスタンバイの中間に位置するソリューションです。予備サーバが、本番サーバと同じ形で設定され用意されているものの、切り替え(復旧)までに何らかの作業(例:アプリケーションサービスを起動させたりするなど)が必要となります。したがって、この形態では切り替えに、分~時間単位でかかる可能性があります。
「コールドスタンバイ」は、予備サーバとして必要なデータや機材が、一通り事前に用意されているものの、本番機の代わりとして稼働させるための設定がほとんど行われていない形態です。本番サーバがダウンしてはじめて、予備サーバとして稼働させるために必要な設定やサービススタートを行わなければなりません。したがって、3つのソリューションの中では一番復旧に時間がかかります(日~週間単位でかかる可能性があります)が、一番安価でもあり、復旧要件が厳しくないITシステムに対して用いられるソリューションです。
ホットサイト、ウォームサイト、コールドサイトとは?
「ホットサイト」、「ウォームサイト」、「コールドサイト」は、いずれも「予備の情報処理施設(DRサイト)としての形態」を指します。
「ホットサイト」とは、大規模なインシデントの発生により、プライマリの情報処理施設および施設内のシステムの利用が見込めなくなった際に、最も速やかに、DRサイトへの切り替えができる形態です。したがって「ホットサイト」には、ITシステムに関わる機材が、全て本番環境同様に設定済みで設置されていることが一般的で、DRサイトとしては最も高価なソリューションとも言えます。
「ウォームサイト」とは、ホットサイトの次に速やかにDRサイトへの切り替えができる形態です。なお、切り替えスピードについては、(取り扱う規模に大きく左右されるため一概には決められませんが)数時間から1週間程度の時間を要することが一般的です。情報処理施設として稼働するための必要最低限のインフラ設備やシステムに関わるリソースが用意されており、かつ、主要なシステムの稼働に必要な主要ハードウェアやソフトウェアの一式をあらかじめ保管してあるような状態であることが一般的です。
「コールドサイト」とは、必要最低限の機材と設備環境(空調や無停電電源装置など)のみの情報処理施設であり、DRサイトの中で、最も立上げにかかる時間が長くかかりますが、最も安価に済む形態です。なお、稼働させなければならないITシステムそのものに関しても、DRが発動されてから、はじめて「コールドサイト」に必要な機器を搬入し、設置・設定を行う形となるため、1週間~数週間程度の時間を要することが一般的です。
「ホットサイト」とは、大規模なインシデントの発生により、プライマリの情報処理施設および施設内のシステムの利用が見込めなくなった際に、最も速やかに、DRサイトへの切り替えができる形態です。したがって「ホットサイト」には、ITシステムに関わる機材が、全て本番環境同様に設定済みで設置されていることが一般的で、DRサイトとしては最も高価なソリューションとも言えます。
「ウォームサイト」とは、ホットサイトの次に速やかにDRサイトへの切り替えができる形態です。なお、切り替えスピードについては、(取り扱う規模に大きく左右されるため一概には決められませんが)数時間から1週間程度の時間を要することが一般的です。情報処理施設として稼働するための必要最低限のインフラ設備やシステムに関わるリソースが用意されており、かつ、主要なシステムの稼働に必要な主要ハードウェアやソフトウェアの一式をあらかじめ保管してあるような状態であることが一般的です。
「コールドサイト」とは、必要最低限の機材と設備環境(空調や無停電電源装置など)のみの情報処理施設であり、DRサイトの中で、最も立上げにかかる時間が長くかかりますが、最も安価に済む形態です。なお、稼働させなければならないITシステムそのものに関しても、DRが発動されてから、はじめて「コールドサイト」に必要な機器を搬入し、設置・設定を行う形となるため、1週間~数週間程度の時間を要することが一般的です。
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