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一時滞在施設

掲載:2015年05月21日

用語集

一時滞在施設とは、大地震等による帰宅困難者が待機できる場所を提供することを目的とした施設です。具体的には、外出中に大地震が発生した場合や、徒歩帰宅途中に日没などにより帰宅を断念した場合などで行き場がない場合に、帰宅が可能になるまで待機するために利用することが想定されます。一時滞在施設のほかにも災害時に提供される場所・施設として避難場所や避難所等があり、それぞれの役割を混同しやすいので、整理してみましょう。

         

災害時に提供される場所・施設

一時避難場所 地震などの災害が発生した際、地域住民が広域避難場所へ避難する前に一時的に集合して様子を見たり、避難のために集団を形成したりする場所のことです。
広域避難場所 大地震などにより発生した火災が延焼拡大し、地域全体が危険になったときに避難する場所のことです。
災害時帰宅支援ステーション 災害による徒歩帰宅者に対し、水、トイレ、帰宅支援情報を提供する施設のことです。
一時滞在施設 待機場所のない徒歩帰宅困難者が、一時的に休憩や滞在することを目的とした施設です。3日間程度滞在する可能性を考慮し、水、トイレ、帰宅支援情報だけでなく、食料や毛布(ブランケット)も提供します。
避難所 災害により住居が倒壊・焼失するなどの被害を受けた住民を一定期間受け入れ、生活の場を提供することを目的とした施設です。特に介護サービスを必要とする高齢者等の場合は、避難所の中でも「福祉避難所」で受け入れることとなります。

 

この中では、災害時帰宅支援ステーションが一時滞在施設と似通った役割を持っています。帰宅支援ステーションとの違いは、一時滞在施設はその名のとおりその施設に「滞在」することが出来るという点でしょう。そのため、災害時帰宅支援ステーションは、コンビニエンスストアやファーストフード店といった小規模な店舗がほとんどですが、一時滞在施設は学校や展示場等のある程度広さのある施設が指定されています。

一時滞在者施設については、首都直下地震で大量の帰宅困難者の発生が見込まれる東京都のほか、茨城県、埼玉県、千葉県、神奈川県の各自治体において、確保のための取り組みが進められています。たとえば、東京都では約200の都立施設や都関連施設を、横浜市では90の公共施設を一時滞在施設として指定しています。ただし、公共施設のみでは大量の帰宅困難者を収容しきれない可能性が高いため、民間施設でも帰宅困難者の受け入れができるよう、自治体と民間事業者の間で協定の締結を進めています。

一時滞在者施設の開設・運営については、「発災から3日間程度」がキーワードとなっています。「発災から3日間(72時間)」という期間は水・食料なしで生命を維持することができる目安と言われており、一人でも多くの命を助けるためにも、救命・救助活動が第一優先で行われるべきと考えられています。しかし、帰宅困難者が一斉に帰宅をしようとし道路で大渋滞等が発生してしまうと、救急車等の到着が遅延し、救命・救急活動が阻害されてしまいます。一時滞在者施設はそのような事態を避け、また、余震等による徒歩帰宅者の二次災害を防止することを目的としています。外出中に大地震にあった場合は、無理に自宅に帰ろうとせず、一時滞在者施設を積極的に活用することが望ましいと言えます。

一時滞在施設でどのような支援が受けられるか?

一時滞在施設でうけられる具体的な支援の内容は以下のとおりです。

  1. トイレや休憩場所の使用
  2. 水や食料、毛布(またはブランケット)の提供
  3. 帰宅するために必要な情報(通行可能な道路情報等)の提供
  4. (医療救護所を設置している施設に限り)負傷している場合、応急救護

また、女性や災害時要援護者(高齢者や障がい者といった介護が必要な方や乳幼児等)が安心して滞在できるよう、プライバシーに配慮した優先スペースが設置される可能性もあります。

一時滞在施設を利用する際に心掛けること

一時滞在施設には、数多くの帰宅困難者が受け入れを希望することも予想されます。全員が気持ちよく過ごせるよう、ルールを守り、お互いに配慮しあうことも必要です。一時滞在施設の運営マニュアルに記載されているルールから読み解いた、利用者側が注意すべき点は以下のとおりです。
  1. 各施設には広さに応じた受け入れ可能人数が決まっています。そのため、大量の帰宅困難者が押し寄せた場合、受け入れを断られる可能性があることに留意しましょう。できれば、徒歩帰宅のルートをある程度決めておき、その途中にある一時滞在施設を複数把握しておくことがおすすめです。
  2. 滞在に当たっては、お互いが気持ちよく過ごせるよう、施設管理者の指示に従い、ルールを守って利用しましょう。また、立ち入り禁止区域が設定されることもありますので、施設管理者に指定された場所で待機するようにしましょう。
  3. 共助(近隣が互いに助け合って地域を守ること、または備えること)の精神に基づいた活動のため、施設の運営に協力を要請される可能性があります。運営に協力することで、自分自身が気持ちよく過ごせるよう、要望を反映できるかもしれません。積極的に協力することが望ましいでしょう。
  4. トラブル防止のために施設内はパトロールが実施されることとなっていますが、どのような人が利用しているかはわかりません。貴重品の管理には十分に注意し、周囲から死角になる場所に不用意に近づかないようにするなど、自身の安全には十分に注意を払いましょう。
  5. 施設で用意されている備蓄品には限りがあります。奪い合い等のトラブルが発生しないよう、お互いに譲り合う気持ちを忘れない様にしましょう。また、トラブルの当事者となった場合、施設からの退去を要請される可能性もあります。
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