DX認定企業との成熟度ギャップは1段階程度、DX推進指標 自己診断結果分析レポート(2024年版)を公開 IPA
情報処理推進機構(IPA)はこのほど、「DX推進指標 自己診断結果 分析レポート(2024年版)」を公表しました。企業は自社のDX進捗を「DX推進指標」を使って自己診断しIPAへ提出しています。今般公開されたレポートは2024年に提出された1,349社分のデータをIPAが分析したものです。
「DX推進指標」は経済産業省が2019年に策定した、DXの成熟度を評価するための基準で、経営者や現場担当者がDXの進み具合や課題を自己診断できるツールとなっています。
IPAでは、毎年9月と10月をDX推進指標の集中実施期間として位置付けています。10月31日までに診断結果をIPAに提出すると、他の提出企業との比較ができる「ベンチマーク」の速報版が11月中頃、確報版が翌年2月以降に提供されます。なお、提出については11月以降も受け付けています。
DXの進み具合(成熟度)はレベル0~5の6段階で評価されます。経営の観点(経営視点指標)19項目と、ITの観点(IT視点指標)16項目の計35項目に回答していくことで、成熟度のほかDX推進に向けた自社の課題、次に実施すべきアクションがわかります。
分析レポートによると、2024年に提出した企業1,349社のうち7割は中小企業でした。成熟度レベルの平均値は1.67で前年(1.26)よりも上昇しました。しかし、成熟度の分布でもっとも多いのは「レベル1以上2未満」(423社)であり、次いで「レベル0以上1未満」(409社)となりました。なおレベル1は「一部での散発的実施」、レベル2は「一部での戦略的実施」という状態です。レベル3「全社戦略に基づく推進」以上に到達した企業は全体の11%(152社)、レベル4「全社的・持続的実施」は全体の1%(18社)にとどまりました。
成熟度レベルを規模別でみると、大企業の現在値の平均は2.30、経営視点指標は2.34、IT視点指標は2.26でした。一方、中小企業の現在値の平均は1.40、経営視点指標は1.36、IT視点指標は1.44となり、DX推進における大企業と中小企業の成熟度には1段階程度の開きがあることが分かりました。
レポートでは、経済産業省が認定している「DX認定企業」との差も比較しました。DX認定企業とは、「デジタルガバナンス・コード」に基づき、経営ビジョンやDX戦略の策定、体制整備などの基準を満たした企業であり、認定を受けるとロゴマークの使用や公的融資の優遇などの支援措置を受けられます。
DX認定企業の現在値の平均は2.30、経営視点指標は2.31、IT視点指標は2.28でした。他方、未取得企業の現在値の平均は1.34、経営視点指標は1.31、IT視点指標は1.37でした。DX認定企業と未取得企業では現在値の平均に0.96のギャップがあります。DX認定企業は認定を申請するにあたってデジタルガバナンス・コードの基本的事項への対応を宣言するため、そのプロセスがDX推進に寄与します。IPAは未取得企業に対して認定の取得を推奨しました。