大企業6社にインタビュー調査、「デジタル人材育成モデル」の2024年度版を公表 IPA
情報処理推進機構(IPA)はこのほど、「デジタル人材育成モデル」の2024年度版を公表しました。デジタル人材の育成・確保に必要な施策について大企業へのインタビューを通じて検討・整理したことを取りまとめました。
公開された文書は「デジタル人材育成モデル2024年度版~DXを推進する企業におけるデジタル人材確保・育成の具体的なアクションについて~」です。デジタル人材育成モデルは昨年6月、初版が策定・公開されました。2024年度版は「ビジネスアーキテクト」に着目して大企業6社にインタビュー調査を行い、どのようにビジネスアーキテクトを育成・確保しているのかを整理、共通要素としてモデル化しました。なお、ビジネスアーキテクトとは「デジタルスキル標準(DSS)」におけるDX推進に必要な人材類型の一つとなります。DSSは専門性を持ってDXの取り組みを推進する人材と位置付けられ、ビジネスアーキテクトはビジネスや業務の変革を通じて実現したいこと(=目的)を設定したうえで、関係者をコーディネートし関係者間の協働関係の構築をリードしながら、目的実現に向けたプロセスの一貫した推進を通じて、目的を実現する人材と定義されています。
2024年度版では、ビジネスアーキテクトに代表されるデジタル人材育成はDX戦略策定にまで遡って進めていることが確認できたと記されています。全社的なDX戦略のもと、座学による知識習得にとどまらず、DX推進の実際のプロジェクトにも参画する機会を与え、「実践の場」を通じて学びを深めさせる育成スタイルの企業が多いとわかりました。
ビジネスアーキテクトのキャリア形成イメージも示されています。実業務(本業)の中で経験学習(実践+理論)のサイクルを回していくことにより段階的に成長すると整理。成長の後押しとして個人の持つ3資本の影響も大きいとしました。個人の持つ3資本とは、①社会関係資本(人脈、信頼できる人間関係)②人的資本(素質、知識・スキル)③心理的資本(活力や自信といったポジティブな心理状態)のことです。
また、経験学習はその企業独自の要素が強く、外部(研修やプラットフォーム事業者)からの支援だけでは成立が難しいものであるとしました。そのため、現場のミドルマネジメント層がそのことを理解した上で、意識的に経験学習の機会を創出していくことが強く求められると指摘しました。
大企業6社へのインタビュー結果は、別冊としてまとめられています。各社のキャリア形成促進施策の実施状況などが記載されています。