企業で想定される技術流出のリスクと対策を解説、「技術流出対策ガイダンス 第1版」を公表 経産省
経済産業省はこのほど、「技術流出対策ガイダンス 第1版」を公表しました。企業において想定される技術流出リスクを整理し対策を提示することを目的としたもので、第1版では、生産拠点の海外進出に伴う技術流出と営業秘密の漏洩など人を通じた技術流出を取り上げ、事例と企業が取り組むべき対策を示しています。
まず海外進出に伴う技術流出については、ある企業がライセンス契約先から技術流出したケースなど計5つの事例が紹介されました。対策として企業が取り組むべき事項は、事業の段階ごとに大別して記されており、例えば「計画前・契約」の段階では「コア技術の特定」という対応策が挙げられています。海外進出においていずれの戦略を取る場合でも、▽自社の競争力の源泉は何か改めて確認する▽コア技術の優位性・重要性を確認する▽データやノウハウなどコア技術がどのように存在しているかを確認することなどにより、正しくコア技術を特定することが、海外進出に伴う技術流出を防ぐうえで前提だと述べています。
人を通じた技術流出については、SNSでのやりとりを通じた技術流出など計5つの事例が紹介されました。対策として取り組むべき事項は「未然に取り組むべき事項」、「情報流出した場合」、「技術者の流出に対して取り組むべき事項」に分けて記されており、例えば未然に取り組むべきこととしては「組織横断的な専門部署の設置」が有効だとしています。技術流出対策を強化するには、現場の判断に任せきりにするのではなく、組織横断的な対応と、司令塔となる専門部署の設置、そして経営層のコミットメントによって全社的に対策を講じることが重要だと記されました。