日系企業にインタビュー調査を実施、「ASEANにおけるデジタル分野の企業動向および日系企業へのヒアリング調査」を公表 ジェトロ
日本貿易振興機構(JETRO)はこのほど、「ASEANにおけるデジタル分野の企業動向および日系企業へのヒアリング調査」と題したレポートを公表しました。ASEAN諸国においてICTやAI、クラウドサービスなどデジタル分野を牽引するグローバル企業の動向を分析するとともに、日系企業へのインタビュー調査を踏まえて明らかになった課題などをまとめています。
文書は全4章構成です。第1章は総論編とし、グローバル企業▽ASEAN各国の地場企業▽日系企業――の3軸においてデジタル市場への参入動向が整理されています。特にデジタル経済の発展がめざましい6カ国(シンガポール、タイ、マレーシア、インドネシア、フィリピン、ベトナム)に着目しています。
産業分野別では、情報通信技術▽AI▽ビッグデータ解析などのソフトウエア分野▽データセンターやクラウドサービス▽半導体関連などハードウエア関連――といった分野ごとに、どのような企業が参入し、サービスは何を提供し、どういった投資計画が進んでいるのかを整理しています。
ASEANのデジタル経済分野は高い成長を続けています。第2章および第3章では、フィリピンやベトナムなど6カ国で事業を展開している日系企業にヒアリング調査した内容をまとめています。
進出企業はASEAN各国の市場特性や経済政策の違いを踏まえて事業を展開しているほか、データ活用やデジタル技術の導入によって業務最適化やデータドリブン化が進んでいるとしています。
一方で、デジタル人材の確保と育成はASEANでも課題となっています。「デジタルスキルを持つ人材の市場価値が高騰しており、特にタイでは海外からの人材確保が言語の壁により難しいため、国内での育成が求められている」と指摘しています。
第4章は総括となっており、課題と今後の戦略についてまとめられています。具体的には、ASEANは人口約7億人の巨大市場である一方、個人情報保護法やデータローカライゼーション規制は国ごとに異なります。このため、各国の事情を踏まえた個別のアプローチが必要となりますが、それだけにとどまらず、ASEAN全体の成長を見据えた戦略を策定することが同時に重要であるなどと指摘しています。