業種別BCP: 製造
業種の特徴
日本において製造業従事者は約925万人、全体の17% を占めるというデータが示すように、製造業は日本の中核産業の一つと言えます。市場で求められる製品を提供する為に、製造業では川上(原材料・部材の調達)から川下(最終製品の出荷)の工程において異なる企業間、もしくは企業内の異なる部門間の緊密な連携が必要とされます。
総務省統計局 「産業,経営組織別民営事業所数,従業者数,売上(収入)金額及び付加価値額(平成24年)」より
BCPの役割
製造業のBCPでは原料・資材の調達先を含めた在庫計画の整備、経営資源の早期復旧が求められる傾向があります。また、先に記したように、製造業では企業間の連携が不可欠です。可能な限りサプライチェーン全体で目標復旧時間を調整し、自社の製品出荷を円滑に継続することが調達先や取引先の活動への影響の拡大を防ぎ、結果として企業の信頼醸成につながります。
BCPのキーポイント
製造業のBCPでは人や設備の損傷の予防・低減策の徹底と多能工化、設備の標準化・多重化、自社による設備点検・修理能力の向上などがポイントとなります。もしこれらの対策を施しても目標とする復旧時間や復旧レベルの実現が難しい場合には他拠点の自社工場や他地域の協力会社、同業他社による代替生産も検討の余地があります。代替生産を実現するためには、技術や部品・素材及び設備等の標準化に加え、情報の共有化のためのデータの保全方法などについて、事前に十分な検討が必要となります。また、上記の対策の他にもBCPの一環として在庫を増やすことも有効な手段の一つです。ただし、収益性改善(コスト削減)の流れと相反するため、どこまで在庫を持つのが適切かは経営判断となります。
ガイドライン・関連記事
- BCガイドライン初版(一般社団法人 日本自動車部品工業会)