「人権に関する都民の意識調査」結果を公表 東京都
掲載:2025年01月23日
リスクマネジメント速報
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東京都は2024年12月、同年の夏に実施した「人権に関する都民の意識調査」の結果を発表しました。この調査は、都内在住の男女5,000人(満18歳以上)を対象に行われたものです。
まず、「今の日本は人権が尊重されていると思うか」という問いへの回答では、「そう思う」が11.7%、「どちらかといえばそう思う」が52.2%となりました。合計すると63.9%で、前年度の65.8%から1.9ポイント減少しています。ただし、「そう思う」の割合は、2020年度以降で最も高い結果となりました。「そう思わない」「どちらかといえばそう思わない」と回答した人の理由として、「報道を通じ、社会で人権侵害や誹謗中傷が増えたと感じるから」(30.3%)が最も多く、「自分中心で他人のことを考えない人が増えたと感じるから」(29.3%)、「多様性が尊重されていないと感じるから」(15.2%)が続きました。
関心のある人権問題としては「インターネットによる人権侵害の問題」(42.5%)、「プライバシーや個人情報の流出・漏えいの問題」(37.1%)、「子供の人権」(35.8%)などが上位になりました。
制度の認知状況に関して、「東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例」を知っている割合は15.4%で、前年度の14.8%からほぼ横ばいとなっています。「東京都パートナーシップ宣誓制度」の認知度は52.4%で、前年度から5.4ポイント増加しました。
ヘイトスピーチを伴うデモ、集会、街宣活動等を見聞きしたことがあるかという問いに対しては、「テレビ・ラジオ、新聞等のニュース報道で見聞きしたことがある」が44.0%と最多に。次いで多かったのは「見聞きしたことがない」(40.8%)、「インターネット上の書き込みを直接見たことがある」(16.6%)です。
同和地区や同和問題を知ったきっかけについては、「学校の授業で教わった」(16.4%)、「テレビ・ラジオ・新聞・本等で知った」(12.4%)などが上位となりました。なお、「同和問題を知らない」と答えた割合は30.6%です。
「犯罪被害者及びその家族が、生命を奪われる、身体を傷付けられるなどの直接的な被害のほかにも、様々な問題を抱えていることを知っているか」という問いについては、56.9%が「知っている」と回答。2023年度は62.3%、2020年度は68.9%で、認知度が年々下がっていることが分かります。また、被害者とその家族の二次的被害(被害後に精神的苦痛を受けること)を防ぐにはどのような取り組みをすると良いかという問いに対しては、「窓口となる行政機関職員への研修等」(36.6%)、「民間企業等に対する周知・啓発」(31.0%)、「犯罪被害者等の支援団体職員への研修等」(29.0%)などが挙がりました。
インターネット上の人権侵害で特に問題があることとして多く回答が集まったのは「誹謗中傷する表現の掲載」(49.0%)、「他人のプライバシーの無断掲載」(42.8%)、「知らぬ間に自分のことが掲載される」(27.0%)などです。解決するために有効だと思うこととして、「違法な情報発信者の取締りを強化する」(49.0%)、「プロバイダ等に対して、違法な情報を削除するよう国の人権擁護機関を通じて要請する」(43.6%)などが挙がりました。
人権啓発・教育の推進で都が力を入れるべきこととしては、「学校で現代の社会における人権問題を教えるなど人権教育を進める」(40.0%)が最多に。次いで、「テレビや新聞、インターネット等を利用して人権の大切さをPRする」(30.9%)、「幼児の時から思いやりの心を育てるために家庭や地域における人権教育を支援する」(26.5%)などが続きました。人権を尊重する社会を実現するために充実すべきこととしては「都民一人ひとりの人権意識の向上」(32.2%)、「人権を侵害された時の救済・支援制度」(31.4%)、「犯罪の取締り」(31.0%)が上位になりました。