法務省は3月25日、「令和6年における『人権侵犯事件』の状況について(概要)~法務省の人権擁護機関の取組~」を発表しました。
法務省の人権擁護機関は、人権侵犯事件調査処理規程に基づき、人権を侵害されたという方からの申告などを端緒に、その被害の救済及び予防に努めています。このたび公表された報告書では、2024年の取り組み状況について、次のような点が報告されています。
まず、新規に救済手続を開始した人権侵犯事件の数は8,947件で、前年(8,962件)と同水準でした。種類別構成比では、2020年以降、 「プライバシー関係」が最も多い状況が続いていましたが、2024年はパワーハラスメントなど「労働権関係」の事案が最多でした(18.6%)。また、「学校におけるいじめ」は1,202件で全体の13.4%を占めており、件数・割合ともに前年から増加しています。
インターネット上の人権侵害情報に関する人権侵害事件については、新規に救済手続きを開始した件数は1,707件で、前年から117件減少したものの高水準で推移していると記されています。また、処理した件数は1,910件で、前年から256件増加しました。当該事件の処理のうち、「援助」(被害者に対してインターネット上の人権侵害情報を削除依頼する方法を教示するなど)が約4割を占めています。「要請」(人権擁護機関が違法性を判断した上で、プロバイダなどに対して人権侵害情報の削除を求める)を行った件数は約3割となっています。
報告書には以上のようなポイントのほかにも、2024年中に法務省の人権擁護機関が救済措置を講じた事例も掲載されています。具体的には、こども関係(いじめや不適切指導)、強制・強要関係、差別待遇関係、インターネット上の人権侵害情報関係の事例について、どのような救済措置をしたのかが解説されています。