厚生労働省国際課と国際労働機関(ILO: International Labour Organization)駐日事務所は11月20日、中核的労働基準の内容をもとに作成した「労働におけるビジネスと人権チェックブック」を発行しました。人権を尊重したビジネスに取り組む事業者(特に中小企業や個人事業者、海外事業を展開する企業)が、国内外で定められた基本的な項目を満たしているかどうかを自社で確認するためのものです。
中核的労働基準とは、ILO総会で、全加盟国が最低限守るべきと採択された5原則のことです(①結社の自由及び団体交渉権の実効的な承認②あらゆる形態の強制労働の撤廃③児童労働の実効的な廃止④雇用及び職業についての差別の撤廃⑤安全かつ健康的な作業環境)。
今回発表されたチェックブックには、これら5原則を軸に、それぞれ10項目前後の確認事項がまとまっています。また、世界人権宣言、自由権規約、社会権規約などの国際基準や、労働基準法、労働組合法といった国内の法律の内容も引用し、解説されています。
チェックブックを使う事業者には、労働組合や労働者代表と対話しながら労働者の立場に立った目線で確認することが推奨されています。要改善の項目があった場合は、専門家にも適宜相談しながら、事業者と労働者が協議して改善策を考えることが求められています。
また、人権に配慮したビジネスを行う上では取引先の状況も関係するため、チェックリストを取引先にも共有して協力を求めることも推奨されています。
チェックブックはILOや厚生労働省のサイトからPDFでダウンロードできるほか、ILO駐日事務所が希望者に冊子を配布しています。