厚生労働省は5月20日、各都道府県の労働局長に向けて、6月1日から労働安全衛生規則の一部を改正する省令を施行し、職場における適切な熱中症対策が事業者に義務付けられることを周知しました。
労働安全衛生規則の一部を改正する省令は、4月15日に公布されたもので、6月1日から施行されました。
職場における熱中症による労働災害は、ここ数年で増加傾向にあります。2024年、職場での熱中症による死亡者及び休業4日以上の業務上疾病者は1,195人で、調査開始以来最多となりました。こうした中、熱中症の早期発見や重篤化防止のために、事業者が講ずべき措置について、今回の改正で新たな規制が設けられています。
具体的には、6月1日から事業者には主に次のような措置が義務付けられます。
まず、熱中症を生ずるおそれのある作業を行うときは前もって、熱中症の自覚症状がある作業者や熱中症のおそれがある作業者を見つけた人が、その旨を報告するための体制を整備しなければなりません。また、これらの体制があることを当該作業の従事者に周知しなければなりません。
また、熱中症による健康障害を防止するために講ずるべき措置の実施手順を作成し、関係作業者に周知する義務もあります。熱中症を生ずるおそれのある作業を行うときは、あらかじめ作業場ごとに、熱中症の症状悪化を防ぐために必要な措置(当該作業からの離脱、身体の冷却、必要に応じて医師の診察・処置を受けるなど)の内容や手順を定め、当該作業に従事する者に周知しなければなりません。
厚生労働省は都道府県労働局長に対して、改正についてあらためて関係者への周知徹底を図り、もれなく運用することを求めています。