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「令和6年版 過労死等防止対策白書」を公表 厚労省

掲載:2024年10月21日

リスクマネジメント速報

         
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厚生労働省は10月11日、「令和6年版 過労死等防止対策白書」を公表しました。「過労死等防止対策白書」は、過労死等防止対策推進法第6条に基づいて国会に毎年報告を行う年次報告書で、今回で9回目の公表となります。

今般の白書の主な内容は、(1)「過労死等の防止のための対策に関する大綱」(以下、大綱)の変更内容、(2)業種ごとの働き方の調査分析、(3)労働行政機関による対策の実施状況、(4)企業・団体の取り組み事例を紹介したコラム掲載の4点です。

(1)については、8月2日に閣議決定された大綱の改定内容が改めて記載されました。主なポイントは、4月から全面適用が始まった時間外労働の上限規制の遵守徹底や過労死の再発防止指導、フリーランスへの対策の強化のほか、調査研究を行う重点業種への「芸術・芸能分野」の追加、国以外も含めた関係者による取り組みの推進です。また、令和7年に大綱策定から10年の節目を迎えることから、さらなる対策を検討・推進するとしています。

(2)では、例として医療従事者(医師・看護師)の精神障害による労災支給決定(認定)事案の分析結果が示されました。支給決定(認定)数は、医師・看護師いずれも近年増加傾向であるとし、支給決定(認定)の要因を「特別な出来事」と「具体的な出来事」に分けて説明しています。その結果によると、特別な出来事として挙げられたのは、医師は男女ともに「極度の長時間労働」が最多。看護師は、「心理的負荷が極度のもの」が最多(男性は対象事案なし)でした。具体的な出来事では、男性医師で「1か月に80時間以上の時間外労働を行った」、女性医師で「仕事の内容・仕事量の(大きな)変化を生じさせる出来事があった」および「2週間(12日)以上にわたって連続勤務を行った」、看護師では男女とも「悲惨な事故や災害の体験、目撃をした」が最多となっています。

(3)に関しては、労働行政機関などにおける対策、調査研究、啓発、相談体制の整備等、民間団体の活動に対する支援の5つに分けて実施状況が記されました。例えば労働行政機関では、適用猶予業種(工作物の建設事業・医療従事者など)への時間外労働の上限規制の施行や、長時間労働が行われている事業場に対する監督指導などが行われています。

(4)では、働き方改革やハラスメント防止対策を行う企業・団体の取り組みが紹介されました。一例として、「全国過労死を考える家族の会」のコラム「過労死のない社会の実現をめざして」など計17本が掲載されています。