脳・心臓疾患の労災認定基準の見直しを議論していた厚生労働省の検討会は7月16日、報告書を公表しました。これを受けて厚生労働省は約20年ぶりに労災認定基準を改正します。
報告書では、「長期間にわたる疲労の蓄積」(長時間労働)について、労働時間のみで現行基準に達しない場合でも、それに近い残業があり、これに加えて一定の労働時間以外の負荷が認められるときは、「業務と発症との関連性が強いと評価できる」と明示しました。
労働時間以外の負荷要因として具体的には、「休日のない連続勤務」、「勤務間インターバルが短い勤務」および「身体的負荷を伴う業務」を新たに規定しました。
また、「発症に近接した時期の急性の負荷」(「異常な出来事」と「短期間の過重業務」)については、業務と発症との関連性が強いと判断できる場合を明確化しました。例えば、「発症前おおむね1週間に継続して深夜時間帯に及ぶ時間外労働を行うなど過度の長時間労働が認められる場合」を挙げています。
報告書の主なポイントとしてこのほかには、「重篤な心不全」が対象疾病となったことがあります。
現行の労災認定基準は2001年12月に改正されました。以降、働き方の多様化や職場環境の変化があり、最新の医学的知見を踏まえて基準の見直しが求められていました。