厚生労働省は6月23日、令和2年度「過労死等の労災補償状況」を公表しました。過労死等に関する労災補償の請求件数は、前年度に比べ減少しました。他方、労災補償の支給決定件数は前年度よりも増加しました。「過労死等」とは、業務における過重な負荷による脳・心臓疾患と精神障害、これらを原因とする死亡のことを指します。
疾患別で見ると、「脳・心臓疾患」への労災補償の請求件数は784件(前年度比152件の減)、「精神障害」への労災補償の請求件数は2,051件(前年度比9件の減)となり、全体で2,835件(同161件の減)となりました。
労災補償の支給決定件数では、「脳・心臓疾患」が194件(前年度比22件の減)、「精神障害」は608件(前年度比99件の増)となり、全体で802件(同77件の増)となりました。
大分類の業種別で見ると、「脳・心臓疾患」では、請求件数および支給決定件数ともに「運輸業、郵便業」が最も多く、次いで「卸売業、小売業」、「建設業」の順となりました。「運輸業、郵便業」のうち「道路貨物運送業」が最多となりました。
一方、「精神障害」では、請求件数および支給決定件数ともに「医療、福祉」が最も多く、次いで「製造業」となりました。「医療、福祉」のうち「社会保険・社会福祉・介護事業」が最多となりました。
裁量労働制対象者に関する労災補償状況も掲載されています。支給決定件数は、「脳・心臓疾患」で1件、「精神障害」で6件でした。どちらも専門業務型裁量労働制対象者に関するものでした。