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ストレスチェック制度の実施義務を全事業者に広げることを議論 労働政策審議会

掲載:2024年11月19日

リスクマネジメント速報

         
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厚生労働省の諮問機関である労働政策審議会安全衛生分科会は11月6日、労働安全衛生法に基づく「ストレスチェック制度」の方向性について議論しました。ストレスチェック制度をめぐっては厚生労働省の検討会が11月1日、中間とりまとめを公表していました。

ストレスチェック制度とは、メンタルヘルス不調の未然防止を目的に労働者の心理的な負担の程度を把握するための検査とその検査結果に基づく医師による面談指導などを内容とする制度です。2014年の改正労働安全衛生法により導入され従業員50人以上の事業場に義務付けられています(制度の実施は2015年12月から)。ストレスチェックの実施(検査および面談)のほか、その結果の集団分析および職場環境の改善に向けた取り組みを促し、労働者のストレス反応を改善しようとするものです。

中間とりまとめによると、ストレスチェック制度に基づく事業者の取り組みによって労働者の心理的ストレス反応の改善が見られたと評価しました。自身のストレス状況について気付きを与える効果や、個々のストレスを低減させる効果が確認されたとしています。

一方、ストレスチェックの実施は制度導入当初に労働者数50人未満の事業場においては「当分の間努力義務」とされました。2023年の実施率は、労働者数50人以上では81.7%であるのに対し、50人未満では34.6%にとどまっています。

労働者のメンタルヘルス不調を未然に防止することの重要性は、事業場規模に関係しないため、検討会では50人未満の事業者向けに支援体制の整備を図った上で、ストレスチェックの実施義務対象を50人未満の全ての事業場に拡大することが適当であると提言しました。厚生労働省の「ストレスチェック制度実施マニュアル」には「外部機関にストレスチェック及び面接指導の実施を委託する場合のチェックリスト例」が示されていますが、この内容を50人未満の事業場にも有用なものとなるよう見直し、周知していくべきと指摘しました。