「DXリテラシー標準」に沿って解説、「データリテラシーガイドブック」を公表 IPA
データ利活用やデータスペースの構築を推進している情報処理推進機構(IPA)は7月下旬、「データリテラシーガイドブック」(10個のPDF文書)を公開しました。IPA公式サイトのコンテンツ「Data Spaces Academy(データスペースアカデミー)」内の新たな資料との位置づけで、実務者を想定読者としています。
データリテラシーガイドブックでは、「DXリテラシー標準」の枠組みを使ってデータリテラシーについて解説しています。DXリテラシー標準とは、「デジタルスキル標準」のひとつ。経済産業省とIPAは2022年12月、DXを推進するために必要なマインドセットや知識、スキルおよび能力を説明したものを、デジタルスキル標準として策定、公表しました。
今般公開された「データリテラシーガイドブック」はデータリテラシーについて体系的に学べる教材という位置づけで、レッスン1~3で構成されています。文書の冒頭には学習目標と学習項目が記されています。データの利活用が重要であるという点を改めて学ぶことができるほか、現時点での課題なども整理されています。
例えばレッスン1では、「Why DXの背景」として社会▽顧客価値▽競争環境――の変化について知ることができます。社会の変化では、技術やサービスの普及速度が加速度的に速くなっていることを示す調査結果などが掲載されています。
政府のデジタル推進方針も紹介しています。アナログ的な手法を前提とした国のルール(規制)が、デジタル化やデジタル技術の活用を阻害する一因であると政府が判断しました。具体的には、目視規制▽実地監査規制▽定期検査・点検規制▽常駐・専任規制▽対面講習規制▽書面掲示規制▽往訪閲覧・縦覧規制――の7項目の見直しを実施したことが紹介されています。
データを利活用する前提にはセキュリティの確保が求められます。レッスン2「What DXで活用されるデータ・技術」では、データ漏えいは直接被害のほかに組織イメージの低下など影響が大きいとし、技術的なセキュリティ対策とともに従業員の教育や意識向上によってデータ流出を防ぐ必要があると説いています。
急速に普及し始めている生成AIについてはレッスン3「How データ・技術の利活用」で言及されています。生成AIの利用にはリスクも伴うが、利用しないことが一番のリスクであると記されています。その上で、出力結果を評価する▽個人情報・機密情報をむやみに入力しない▽AI利用のガイドラインを確認することを留意点として挙げています。参照すべきガイドラインの例として「AI事業者ガイドライン」(総務省・経済産業省)を示しました。
このほか、データ駆動型組織のカルチャーやデータ活用事例などについても整理されています。