データスペースの利用手順を解説した「データ利活用・データスペースガイドブック第1.0版」を公開 IPA

掲載:2024年12月05日

サイバー速報

         
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情報処理推進機構(IPA)はこのほど、「データ利活用・データスペースガイドブック第1.0版」を公開しました。本文書は、組織におけるデータの利用方法や、データスペースの活用手順について解説したもので、「データ利用者編」と「データ提供者編」の2部構成となります。今般は第1部「データ利用者編」が公開されました(第2部は近日公開予定)。

データスペースとは、国境や分野の壁を越えた新しい経済空間、社会活動の空間を表す概念で、近年主に欧州で注目を集めています。国や組織を超えてデータを連携・利用できる仕組みを整備することで、新規サービスの創出や既存サービスの高度化を目指すものです。

まず、データスペースを視野に入れたデータ利活用をするためには複数のフェーズが存在するとされており、本書では(1)経営戦略策定、(2)IT戦略・規格策定、(3)データ提供準備、(4)データ検索、(5)契約、(6)データ利用アプリケーション開発、(7)運用、(8)評価の8つに分けて具体的なデータの利用方法が説明されました。

例えば(1)経営戦略策定では、闇雲にデジタル技術を検討するのではなく、デジタル技術を活用して何を実現したいのかを徹底的に議論し、経営トップが納得したうえで方針やビジョンを浸透させることが、データ活用やDX推進のために重要だといいます。そして、組織全体で効果的なデータ活用をするために必要なものとして「CDO(Chief Data Officer:最高データ責任者)というポジションの擁立を推奨しています。CDOが組織のビジョンを基にデータマネジメント・統括を行うことで、データの価値を最大化することができるとされています。

また、データ利用者側は(5)契約や(6)データ利用アプリケーション開発のフェーズでデータスペースを利用できます。データ提供元との契約を行う段階でデータスペースに参加して契約を行ったり、アプリ開発の際にデータスペース内で提供されている仕様書やドキュメントを利用したりするなどの形で、データスペースを活用できるとされています。

まとめとして、現代のビジネスでは、このようなデータスペースやCDOといった観点を軸にデータ戦略を策定し、計画と実績の差を把握しながら対応していくことで、組織のビジョン実現や成功につなげることができると記されました。データスペースおよびデータの効果的な活用は、競争力の維持にも役立つと述べられています。