「データ利活用・データスペースガイドブック第2.0版」を公開 IPA

掲載:2025年02月17日

サイバー速報

         
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情報処理推進機構(IPA)は1月29日、「データ利活用・データスペースガイドブック第2.0版」を公開しました。

本書は、データやデータスペース(国境や分野の壁を越えてデータを連携・利用する空間)の活用方法を解説したものです。2024年11月には第1.0版として、第1部「データ利用者編」(第1~8章)を公開。データを取得して自社の事業に活用する人を「データ利用者」と定義し、データ利用者が取り組むべきことがまとめられています。

このたび公開された第2.0版では、新たに第2部「データ提供者編」(第9章~16章)が加わりました。自組織のデータを提供する人を「データ提供者」と定義し、データ提供側の経営層や事業担当者、IT担当者が取り組むべきタスクについて、8つのフェーズに分けて解説しています。

「第9章 経営戦略策定フェーズ」では、組織がデータ活用やDXを推進するにあたり、デジタル技術を活用して何を実現したいのかを徹底的に議論することが重要だとしています。そして、データ提供の戦略策定や、提供データの管理責任などを担う立場として、組織に「CDO(Chief Data Officer:最高データ責任者)」を擁立することを推奨しています。

「第10章 IT戦略・企画策定フェーズ」では、データ提供のメリットが解説されています。例えば、自組織で使っていなかったデータを他組織が活用することで新たなビジネス創出につながりうる点、データを同業種/他業種の組織と相互に共有することで、業界の底上げや社会課題の解決につながる点などが挙げられています。そして、データ提供の企画を立てる際は、自組織のデータが提供先にどのような利点があるか把握し、提供先のターゲットを明確に定めることが重要だと書かれています。

「第11章 データ提供準備フェーズ」では、自組織内のデータを収集し、提供データを用意するまでの流れが解説されています。データの連携方法を検討する際は、企画内容などをふまえ、必要と判断した場合にはデータスペースに参加することとしています。

「第12章 データ検索フェーズ」では、提供データを公開する手順がまとまっています。データの公開方法としては、自社HPへの掲載など複数の選択肢がありますが、本書ではデータカタログの作成を推奨しています。データを迅速に提供することができるほか、データ資産を一元的に管理できるなどのメリットがあるためです。

「第13章 契約フェーズ」では、データ利用者と契約を締結する場合の注意点などについて記されています。「第14章 データ利用アプリケーション開発フェーズ」は、データ利用者がアプリケーションを開発する場合に、データ提供者側が対応すべき作業(認証・認可、テストのためのデータ提供)がまとまっています。また、参加するデータスペースなどから、データ提供者向けの機能やサービスが提供されることもあると記されています。

「第15章 運用フェーズ」では、運用時にはCDOが定めたデータガバナンスなどに則り、不備や課題があれば、データ管理部門へ改善のためのフィードバックを行う必要があると書かれています。

「第16章 評価フェーズ」では、CDOがデータ提供事業を振り返る際の評価ポイントとして、10個の観点が例示されています(①データ戦略の達成度②データガバナンスの効果③データ品質の状況④データ提供の状況⑤セキュリティとリスク管理の状況⑥組織全体のデータ文化の浸透度⑦データインフラの有効性⑧データ使用目的の制限の状況⑨プライバシー管理の状況⑩契約内容)。これらの評価を通して計画と実績との差を把握し、適切に対応することで、組織の成長につながると述べられています。