生成AI利活用ガイドラインの策定支援を提言、「自治体におけるAIの利用に関するワーキンググループ」が報告書を公表 総務省
少子高齢化が進む中、自治体の行政サービスの持続可能性について検討が進められています。総務省ではこのほど、「自治体におけるAIの利用に関するワーキンググループ」が全6回の議論を踏まえて報告書を公表しました。自治体が提供する行政サービスにおいて、どのようにAIを利活用していけば業務効率化やサービスの質の向上につながっていくのかを検討しました。
生産年齢人口がピーク時から約1,100万人減少し、自治体では技術職員などの専門人材の不足が喫緊の課題として挙がっています。さらに今後は、団塊ジュニア世代の退職によって一般行政職員を含めて人材不足が深刻化するといわれています。
こうした中、デジタル技術の導入が業務効率化に寄与しているとされており、業務効率化の手段の一つとしてAIの利活用が自治体において検討されています。
報告書によると、昨年末時点で生成AIを「導入済」とする自治体は都道府県で87.2%、指定都市で90.0%、その他の市区町村で29.9%でした(総務省「地方自治体におけるAI・RPAの実証実験・導入状況等調査」)。これは前回調査(2023年12月31日現在)と比較すると、都道府県では36.1ポイント増、指定都市では50.0ポイント増となり大きく増加しました。
生成AIは、あいさつ文案の作成や議事録の要約、企画書案およびメール文案の作成、議会の想定問答の文案の作成などで活用されています。公務に限らず人材確保が困難な時代となってきていることから、自治体職員でなければできない業務に注力できる環境を整えることが重要であるとし、AIを含むデジタル技術で代替可能な作業は置き換えていくことが必要だと指摘しました。加えて生成AIは知識やスキルを必要とする作業が可能であり、単なる作業の代替にとどまらない飛躍的な業務効率化が期待されると記しました。
一方、生成AI未導入の自治体では、「AI生成物の正確性について懸念がある」、「導入するための人材がいない」といった声がありました。また、生成AI利用におけるガイドラインを「策定済」と回答した自治体は647に留まり、「未策定」が1,004団体となりました(昨年末時点)。
自治体が適正かつ効果的にAI利用を推進できるよう、国は自治体のガイドライン策定を支援することが求められると提言しました。総務省は「自治体におけるAI活用・導入ガイドブック<導入手順編>」(2022年6月)を公表しています。報告書ではこのガイドブックに、新たに柱建てを追加する形で生成AIの利用方法や利用における留意事項などの記述を追加し、別添として自治体が作成する生成AI利活用ガイドラインのひな形を掲載することを提案しました。