AI搭載ロボの認証制度検討へ、「AIロボティクス戦略」策定に向けて取りまとめを公表 経産省
経済産業省はこのほど、「AIロボティクス戦略の方向性の骨子」を公表しました。政府はこれを踏まえて今年度末をめどに「AIロボティクス戦略」を策定します。
「AIロボティクス戦略の方向性の骨子」は経済産業省が設置した検討会がとりまとめたものです。人口減少に伴う構造的な人手不足という課題に直面している日本が、AIおよびAIを搭載したロボット(AIロボティクス)を一体的に社会実装することで課題解決につなげようとする狙いが示されています。
検討会が公表している資料によると、日本は産業用ロボット市場においては自動車や半導体分野を中心に高いシェアを獲得しています。一方、今後市場が拡大すると見込まれるサービスロボット市場ではシェアが低く、ヒューマノイドを含む多用途ロボット(※)の研究開発競争では米欧中に後れを取っています。民間による調査で、多用途ロボット市場が2040年までに約60兆円に達するとの予測も紹介しています。
今後は多用途ロボットの開発を推進します。市場を創出するとともに、産業構造の転換を促すため、供給側と需要側の双方からアプローチする方針です。
供給側では、国産メーカーや国産SIer、多用途ロボットの国産OEMメーカーなどの育成を検討します。他方、需要側では人手不足が深刻な物流、農業、介護・医療、建築、小売り、多品種少量の製造現場のほか、防災やインフラといった公的領域においてAI・ロボット活用が進まない原因を分析し、注力すべき産業ドメインを特定します。
AIロボティクスの導入・普及に向けては、プライバシーや安全性、セキュリティの確保が必要です。骨子には、AIロボティクスを対象とした認証制度の整備を検討することが明記されています。
AIロボティクスの国産化は経済安全保障の観点からも重要です。将来、多用途ロボットが日本の労働力の一端を担うことが想定されているからです。自律した技術基盤と供給体制の確立を目指し、モーターや減速機、コンピューティング基盤、ソフトウェアスタックなどにおいて国内での製造能力や設計能力の強化策を検討します。
※特定の作業に限定されず、多様な用途や環境に対応できる柔軟性を持った、二足・四足・台車型等の自律ロボットのこと。