AIガバナンスの統一指針「AI事業者ガイドライン(第1.0版)」を公表 総務省/経産省
掲載:2024年04月26日
リスクマネジメント速報
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政府は4月19日にAI戦略会議を開き、意見公募を踏まえてとりまとめられた「AI事業者ガイドライン(第1.0版)」(以下、AI事業者ガイドライン)を決定しました。ガイドラインは総務省と経済産業省が共同で作成しました。意見公募は1月20日から2月19日まで実施、計3947件の意見が寄せられました(47法人・団体から441件、個人からは3506件)。
AI事業者ガイドラインは安全・安心なAI活用の促進を狙いとしたAIガバナンスの指針です。従来は用途ごとに別個にあったガイドラインを統合、改定してとりまとめられました。具体的には、AI開発ガイドライン(総務省、2017年、焦点は開発)、AI利活用ガイドライン(総務省、2019年、焦点は利用)、AI原則実践のためのガバナンス・ガイドライン(経済産業省、2022年、焦点は運用)がありましたが、生成AIの急速な普及にみられるようにAI技術の利用範囲および利用者の拡大を背景にガイドラインの内容を更新するとともに統合されたものが求められていました。
AI事業者ガイドラインは、AIシステムに関わるステークホルダーすべて(開発者・提供者・利用者)を対象としています。本編(35ページ)のほかに1~9まである別添資料で構成されています。
組織には、AIの利用形態ごとに生じ得るリスクの大きさに応じて対策の強度を決めるリスクベースアプローチを求めています。例えば、高度なAIシステムに関係する事業者向けには、リスクベースのアプローチにもとづくAIガバナンスおよびリスク管理方針を策定した上で、実施、開示すると明記されています。リスクベースアプローチは欧州連合(EU)のAI法案や米国国立標準技術研究所(NIST)のAIリスクマネジメントフレームワーク(AI RMF)、ISO/IEC42001(AIマネジメントシステム、AIMS)などでも採用されている手法です。
AI事業者ガイドラインについて詳しくは、こちらの記事をご覧ください。
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