「2024年度 日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査」の結果を発表 JETRO
日本貿易振興機構(JETRO)は3月4日、「2024年度 日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査 -高まる地政学リスク、サプライチェーン再編へ-」を公表しました。この調査はJETROが2002年度から実施しているものです。今年も海外ビジネスに関心が高い日本企業を対象に、海外事業展開の状況が調査されました。
今回の調査は2024年11~12月に9,441社を対象に行い、そのうち3,162社から回答が得られました。貿易、電子商取引(EC)、海外進出、原材料・部品の調達、外国人材の雇用、人権・環境への取り組みなどについて尋ねています。
調査結果は、主に3つの観点で整理されています。
まず、最重要とする輸出先で米国が25.8%と首位になり、比較可能な2016年以降で最も高い結果となった(※)ことがポイントとして記されています。2位はASEAN(21.4%)で、そのうちベトナム(6.3%)やタイ(5.9%)が上位に。なお、続く中国は14.8%で、3年連続で減少しました。
最重要輸出先の選択理由として、最も多かった回答は「現地市場の需要拡大や引き合いの増加」(82.1%)でした。続く「販売先の多角化」(26.4%)は、前年から6.8ポイント増加しています。
2つ目のポイントは、地政学リスクによる調達への影響が生じている点です。調査結果によると、最大の海外調達先からの主要原材料・部品の調達について、20.5%の企業が地政学リスクの高まりで「すでに調達に影響が生じている」と回答。「現在調達に影響はないが、今後の影響への懸念あり」と答えた企業も49.9%となりました。地政学リスクによる調達への影響を避けるための対策としては、「調達先の分散・多元化」が61.2%と最も高い結果となりました。
3つ目のポイントは、多様性・持続可能性が推進されていることです。調査結果によると、全体の49.7%が外国人材を雇用しており、そのうち54%の企業で高度外国人材を雇用していることが分かりました。高度外国人材雇用の成果については、68.4%が「海外展開への貢献」を実感しています。一方で、外国人材雇用・採用において、「外国語対応が難しい」「採用活動に必要なノウハウ・知見が不足」といった課題も挙げられました。
また、環境や人権の尊重などのサステナビリティ情報について、「すでに開示している/数年以内に開示を予定している」と回答した企業は大企業で71.5%にのぼりました。一方、中小企業では20.7%にとどまっています。人権尊重の方針を策定している企業は38.9%で、前年から9.7ポイント増でした。人権デューディリジェンス(DD)を実施している企業の割合は16.4%で、前年度から6.5ポイント増となりました。ただし、人権DDの取り組み状況には業界によって差があることも記されています。
その他、調査結果の詳細はJETROのホームページに掲載されています。
※2019年は同じ設問で調査を実施せず。