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コラム

BCP策定企業に対する、融資・保険優遇制度

2014年05月14日

コンサルタント

小野 健一

コンサルタント 小野 健一

BCPにおいて重要なのは、しっかりとした対策を実施することです。対策は被害を未然に防いだり軽減したりする予防・低減策と、使用できなくなった経営資源を代替の物でしのぐ代替策が挙げられます。例えば、前者は『建物の耐震補強』、後者は『自家発電機の導入』といったものが代表的です。しかしながら、企業(特に経営者)にとってはいずれも大きな費用負担を伴うため、いつ発生するか予測が難しいものにどれだけ費用をかけるのか、難しい判断を迫られます。

一方で、金融機関や保険会社から見た場合、融資先や保険契約先(=顧客)がBCPを策定しているということは、策定していない企業に比べて相対的に「災害による事業中断リスクが低い」=「信頼度が高い」ということであり、貸付金利や保険料を優遇した商品を設定して契約のハードルを下げようという動きがあります。

現在、いくつかの金融機関、損害保険会社が単独ないしは連携して、BCP策定済みの企業に対し、貸付金利や保険料を優遇する商品を提供しています。その主なサービスをご紹介します。

政府系金融機関による貸付金利優遇制度

  1. 日本政策投資銀行(DBJ)
    防災・減災対策、事業継続(BCP、BCM、BCMS)対策に対する企業の取組みを支援するため、「DBJ BCM格付」を軸とした「総合的な企業のリスクマネージメントサービス」として、以下のサービスを提供しています。「DBJ BCM格付」は、予防のみならず、危機発生直後の戦略・体制等を含めた企業の事業継続性(=組織レジリエンス)を総合的に評価する内容となっています。
    http://www.dbj.jp/solution/financial/risk_manage/service.html
    • DBJ BCM格付融資
      DBJが独自に開発した評価システムにより、防災及び事業継続対策への取り組みの優れた企業を評価・選定し、その評価に応じて融資条件が設定される融資制度です。これまで、延べ約100組織に対する融資実績があります。
      なお、融資後も継続して、企業のBCP維持・管理状況のモニタリングが実施されます。
    • 震災時復旧資金特約付融資
      地震発生直後の復旧資金の提供を行うものです。予め定められた条件を満たす大規模な地震が発生した場合に、一定金額の復旧資金が支払われるもので、「DBJ BCM格付融資」の際の特約として設定することができます。
    • 企業費用・利益総合保険割引制度と被災設備修復サービス
      上記の“BCM格付評価”を受けた企業が、㈱損害保険ジャパンの提供する「企業費用・利益総合保険」を契約する場合には、保険料が優遇される特典もあります。また、火災、水災などで汚染した建物・機械設備の煙・すす等による災害汚染の調査・汚染除去を行う「被災設備復旧サービス」も提供しています。
 
  1. 日本政策金融公庫
 
  1. 商工組合中央金庫(商工中金)
    「中小企業BCP支援制度」により、中小企業団体中央会からの推薦(BCP取組みに関するアンケート回答などでのチェックを受けて)を受けた企業は、防災対策、BCP策定で必要となる設備資金、運転資金の貸付条件が優遇されます。
    http://www.shokochukin.co.jp/newsrelease/nl_bousaitaisaku_shien.html
    また、「財務リスクマネジメント・BCP支援」により、BCP策定や防災対策に伴い、必要となる設備資金・運転資金の融資を受けることが可能です。
    http://www.shokochukin.co.jp/corporation/raise/kind/original/index.html

一般の金融機関による貸付金利優遇制度(50音順)

  1. 滋賀銀行
    「BCPサポートローン」により、防災施設等の整備を行うために必要な資金を、優遇金利で調達することが可能です。
    http://www.shigagin.com/company/catalog/bcp/index.html
  2. 名古屋銀行
    「BC支援ローン」により、BCPに基づく防災設備、代替設備等の整備にかかる費用、BCP策定の為に行うコンサルティング・調査等にかかる費用などを、優遇された条件で調達することが可能です。
    http://www.meigin.com/hojin/keiei/support.html
  3. 百五銀行
    「百五BCP支援融資」、「百五BCP支援私募債」により、優遇金利での資金調達が可能です。
    用途は、BCPに必要とされる事業性資金(事業所の耐震強化・不燃化・防災対策・機械の 転倒防止対策・災害対策用発電機購入・応急給水設備整備・災害対策用通信施設整備・ 防災倉庫・BCP策定にかかるコンサルティング費用等)のみならず、経常運転資金・一般設備資金での申込みも可能です。
    http://www.hyakugo.co.jp/news/img/111228news.PDF
  4. 三井住友銀行
    「SMBC事業継続評価融資」、「SMBC事業継続評価私募債」による資金調達が可能です。
    企業の“事業継続体制の構築状況”や“リスク管理の取組み”を独自の評価基準で評価し、結果に応じた条件が設定されます。
    http://www.smbc.co.jp/hojin/financing/continuity/

損害保険会社による契約保険料への優遇制度

損保ジャパンの「企業費用・利益総合保険」を契約する場合、「DBJ BCP格付け」(日本政策投資銀行の項参照)を取得した企業は、保険料割引の優遇を受けることができます。
また、中小企業団体中央会からの推薦(BCP取組みに関するアンケート回答などでのチェックを受けて)によっても、「企業費用・利益総合保険」の保険料割引の優遇を受けられます。なお、優遇条件はそれぞれの場合で異なります。
http://www.sompo-japan.co.jp/~/media/SJcms/news/2008/200804301400.pdf
http://www2.chuokai.or.jp/hotinfo/bcp_gaiyou.htm

まとめ

不要・不急の防災対策費用や設備投資費用は、できれば支出せずに済ませたいものです。

しかし、現代ではどの企業もグローバルなサプライチェーンの中に組み込まれ、一つの企業の活動ストップが、サプライチェーン全体(=業界全体)にまで影響を及ぼすという時代になっています。先の東日本大震災や2度のタイ大洪水に際しても、自動車業界や家電業界をはじめ、全世界が受けた大きな影響は記憶に新しいところです。

即ち、どの企業もリスク対策を疎かにはできない時代になっており、リスク対策はもはや「やる」か「やらない」ではなく、「やる」ことが前提で、それを「どこまでやるか」が重要となります。そうなれば、リスク対策実施の際に必要となる「費用」の支出を少しでも抑えるための各種優遇策は、知っていて損になることはありません。

今回紹介したものは一例で、実際に融資を受ける場合や保険契約する場合は、個別に詳細な契約条件の確認が必要です。

また、今回紹介した以外にも、自治体や金融機関、損害保険会社で独自に、BCP策定と連動した各種優遇策を企画・運用しているところもあると思われますので、BCP策定を検討の際は、近隣の各機関にも相談することをお勧めします。

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