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BCPここが「鍵」 チャプター2【大塚商会寄稿コラム】

掲載:2013年10月01日

執筆者:代表取締役社長 副島 一也

コラム

BCP(事業継続計画)に役立つ情報をコラムでご紹介します。第3回~第5回は「目標設定」、「リスク分析」、「演習」に関する情報です。よろしければご覧ください。

         

第3回 目標設定により組織の意思を共有する

「目標復旧時間を設定することに意味があるのか?」

最近BCP構築を進める現場でよく言われます。復旧は早い方がよいに決まっている。しかしながら、広域災害で壊滅的な被害に遭った場合など、目標は絵に描いた餅のようなもので意味はないという論旨です。

確かにそうした側面は否定しません。ただし、トップマネジメントや現場のメンバーと目標設定していると興味深いことが見えてきます。非常時にはすべてのことはできません。何からどこまで対応したいのか、トップの思いと現場の捉え方は案外開きがあるものです。非常事態が起きてから考えていては間に合わないかもしれない、意思決定に必要な適切なメンバーもいないかもしれません。平時にしっかり目標設定することで組織の意思・思いが共有され、次のステップに進んで行けるのです。

[2013年10月 1日公開]

第4回 リスク分析はいつも経営者が行っています

「リスク分析」という響きは何か特別なことを行うような印象を与えます。しかしながらそれは、会社を経営するにあたって、経営者が頭の中でいつも行っていることです。

多くの経営者の頭の中には、リーマンショックのことがトラウマとなって残っています。売り上げが突然半減し、社員数を削減するか、出勤日を減らすかなど日々悩まされました。なんとか市場が落ち着いてきたかと思うと、東日本大震災が起き、タイの水害が起きました。あのころのことを考えるので、資金繰りにも余裕を持ちたいのです。

いつまた、金融ショックや、大地震、または大噴火などが起きるかわかりません。もっと身近なところでは、明日突然、最大顧客の契約が別の会社に奪われるかもしれません。そうしたことは経営者が日々何かを判断する際に良く考えていることです。どんな原因によって、自組織にどんな影響がありそうなのか、つまり何が起きることに備えることが重要なのか、それを考えることがリスク分析です。経営者がいつも考えているリスクと全く整合性のない「リスク分析」という作業は止めにしましょう。

[2013年11月 1日公開]

第5回 演習のファシリテータはいつも怒られる

演習はいざ実施するとなると準備する側(がわ)は大変です。何度もファシリテータを経験してきたプロでも苦労します。組織のご担当者が経営トップや社員を集めて演習を仕切るのは大変なことでしょう。

多くの場面でファシリテータが参加者から攻められる特徴的な二つの指摘があります。

  1. 演習の準備不足という指摘
    「このシナリオはそもそも現実的でない、もっと違う場面が想定された方がよい」
    「参加者全体の動きがスムーズでない、もっと効果的にできるよう準備すべきだ」
  2. 社内規定や教育不足という指摘
    「そもそも、上記のシナリオに対し、組織がどう動くのかを決めておくべきで、それを教育してから演習を実施すべきだ」

限られた時間で準備し、全体の事業継続の対応能力を上げるために演習を行います。事前にすべてを想定するのは不可能です。断固たる強い思いを持って演習を仕切りきってください。

[2013年12月 1日公開]

大塚商会ウェブサイトより転載)

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