BCP(事業継続計画)に役立つ情報をコラムでご紹介します。第18回~第20回は「回線」、「連絡網」、「資材」に関する情報です。よろしければご覧ください。
第18回 非常事態に確保すべき回線とは
さて、今回から、非常時対応実践についてお話を進めていきます。まずは回線についてです。大震災など起きると、非常用の回線確保のため通信規制が実施されます。災害時優先電話、衛星電話、MCA無線(マルチチャネルアクセス無線)などの機器を準備することも有効ですが、費用も掛かります。そうした中、もっと現実的に実現可能な回線を確保するための二つのポイントをご紹介します。
一つ目は、通信手段を複数持つということです。例えばPHSによる通話。次にインターネット回線による電子メール。また、インターネット回線を利用したSkype(スカイプ)、Googleなどのビデオ会議も有効です。また最近ではFacebookで普段からグループを作ってコミュニケーションしておくことも多く、災害時にもすぐ活用できます。
二つ目のポイントは上記手段を利用する際の必要な資源の確保です。例えば、停電時でも使えるよう必要な資源(モバイルWi-Fiルーター、非常用電源などなど)を整理して準備しておくことや、普段から携帯などは出来るだけ充電してくことなどです。こうして考え、実践していけば実は簡単に連絡手段が確保できる可能性を高めていけるのです。
[2015年 1月 5日公開]
第19回 非常事態に確保すべき連絡網とは
非常時に真っ先に思い浮かぶこと、それは大切な人の安否です。
会社において社員の安否確認も必要ですが、家族の無事が確認できなければ仕事は手につきません。社員一人一人が平時から家族内での連絡がスムーズにできるよう会社としても促すことが大切です。そのうえで、社員同士でも連絡が取りあえる連絡網を用意する、また、万一の際に必要な社員の家族への連絡先情報を共有することも重要です。
ただし、ここで問題になるのは個人情報保護です。個人の携帯番号や家族の情報を教えるなんてありえない、そうなると連絡網は成立しません。片や、私の知る、あるBCPに熱心に取り組む企業では、社員の連絡網はおろか社外の取引先との緊急時連絡網まで作り上げてしまっています。何かあったらお互い24時間いつでも連絡取りあって協力しましょうと約束しているのです。
では何が違うのか、そこには平時からの信頼関係、組織風土が大いに影響しています。普段から風通しがよく、情報共有ができる組織になればなるほど、緊急時の対応能力が高いことも最近の研究でわかってきました。ビジネスは一日でならず、いざという時協力し合える文化と連絡網を持つ組織になりたいものです。
[2015年 2月 2日公開]
第20回 非常事態に備える資材とは
非常時に必要な資材を洗い出すには、まず会社として対策本部を立てて、非常事態において実施する内容を考えてみるのが有効です。例えば、安否確認、数日間社内待機のための備蓄品配布、被災状況確認、負傷者対応、重要顧客への連絡、サプライヤーへの連絡などでしょうか。
次に、それらを実施するのに何が必要かを考えるわけです。安否確認をするのに必要な資材、電話、携帯、インターネット、無線…、備蓄品を用意するなら、社員数プラスアルファに3日分の水、食糧や寝袋、簡易トイレ等々。場合によっては現金なども必要かもしれません。
また、被災状況を確認する手段として、ラジオがあった方が良いかもしれませんし、自社が確認すべき内容を洗い出したチェックシート、筆記具、懐中電灯なども必要でしょう。このように、自社は非常時に何をするのか?具体的にシミュレーションしてみて、どうしたいのか、そのためにどこまで用意するのか具体的に考えてみることをお勧めします。
[2015年 3月 3日公開]
(大塚商会ウェブサイトより転載)