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BCPここが「鍵」 チャプター5【大塚商会寄稿コラム】

掲載:2014年07月01日

執筆者:代表取締役社長 副島 一也

コラム

BCP(事業継続計画)に役立つコラム。第12回~第14回は「想定外に備えることの大切さ」、「離れた地域への影響」、「水害・土砂災害」に関する情報です。よろしければご覧ください。

         

第12回 現実はシナリオを超えるもの -想定外を乗り越えたBCP-

めったには起きないが、一度起きたら致命的な被害に対して備えること。これがBCPの基本的な考え方です。ただし、明日かもしれないし、5年10年後かもしれない「めったには起きない事態」への対策は、日々の業務に忙殺されているとどうしても後回しにされがちです。

今回は、3.11以前からBCPを策定していたことで未曾有(みぞう)の被害から早期に立ち直った企業を紹介します。

BCP策定時は、二つある工場のうちどちらかが使用不可となったというシナリオを軸に対策を講じていました。しかし、現実に起きたことは、どちらの工場も津波に飲み込まれ、事業の生命線とも言える機材は海水に浸り、貯蔵タンクやドラム缶は数キロ先まで流される壊滅的な被害でした。このような現実のなか、彼らは翌週には事業を一部復旧・再開を果たしました。

その企業がとった対応は、BCPの利用可能な部分は利用し、不足している部分は状況に応じて決断する。BCPの一部を利用するというものでした。また、平時から自社で可能な工程を、非常時に備えて他社に発注していたことも功(こう)を奏しました。協力関係を構築できていたことで、県外の同業他社からの支援を受けられたのです。

現実はシナリオをはるかに超える厳しいもので、「起きてからでは間に合わない」と肝に銘じたいものです。それを乗り越えるための力を平時に蓄えていたといえる好例ではないでしょうか。

* 詳細は「想定外を乗り越えたBCPの軌跡~オイルプラントナトリ」のページをご覧ください。

想定外を乗り越えたBCPの軌跡~オイルプラントナトリ

[2014年 7月 1日公開]

第13回 自社が震度1でもBCPへ全力で取り組む重大な理由

東日本大震災での被災を機にBCPに取り組まれた組織はたくさんあります。しかしながら、震度1で自社そのものではほとんど被災しなかったにもかかわらず大きな影響を受け、その後BCPに全力で取り組まれた企業もあります。富山県黒部市にある株式会社トヨックス様です。同社は産業用ホースで国内有数のシェアを誇る優良企業です。

今東日本大震災の際ですが、自社の施設や設備にはほとんど影響がなかったものの、重要な原材料である塩化ビニールの仕入れ先が被災し、入荷目途が全く立たないという状況に直面したのです。結果として材料はイタリアから空輸で仕入れ、事なきを得ましたが、大きな対応時間とコストを費やすことになりました。この経験から、仕入れ先の見直し、複数購買を含むBCPを大いに強化されることになったのです。またこのことは、自社が複数購買を考えるのであれば、取引先もそうした対応を進めてくる可能性がある、その前に、自社のBCPの体制を万全に備え、信用力、競争力を十分に保とうという重要な経営戦略とされているのです。

自社の立地では地震の被害は少ない、よってBCPは必要ない、では済まされない事実を教訓としたいものです。

[2014年 8月 1日公開]

第14回 なぜ、水害や土砂災害の被害は大きくなるのか?

先週、今週にかけ、広島に続き礼文島の災害。立て続けに日本を襲う大雨、土砂災害。自然による恐ろしい脅威であり、被災された皆様には心よりお見舞い申し上げます。

さて、連日放送されるテレビのニュースなどを見ていると「こんな雨は見たことがない、数十年ここに住んでいるがこんなことは初めてだ」と、このようなコメントが幾度となく流されます。大変不運なことです。しかしながら、自然災害は長い歴史の中で繰り返し起きていることがほとんどです。人は、今、目の前で起きていないことに備えるのが苦手なのだと感じます。

命にかかわる災害対策、事業継続計画は平時にこそやっておかなければならないものです。「災害は忘れたころにやってくる」のだから被害は大きくなるのであり、忘れてはならないのです。多くの災害に対し、企業としても今すぐ考えたほうが良いことを以下まとめます。

  1. 行政から示されているハザードマップなどで自社に係る災害リスクを把握する。
  2. リスクが大きい場合、できれば移転も含め対応を検討する。
  3. 移転は無理ならば、できる対策を実施する。
  4. 何かが起きた時、すぐに適切な対応がとれるよう社内教育、啓発、訓練などを実施し続ける。

何かが起きた時にはだれもが考えます。忘れないこと、続けることが重要です。

[2014年 9月 1日公開]

大塚商会ウェブサイトより転載)

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