
企業や組織の「コンプライアンスリスク」とは、法律や社会規範、社内規程といった規則に違反する危険性を指します。法的責任を問われたり、顧客の信頼や社会的評判が大きく損なわれたりするため、その適切な管理は安定した企業経営に不可欠です。
コンプライアンスとは何か
「コンプライアンス」を直訳すると"法令遵守"ですが、その守るべき範囲は広く、法令や条例だけでなく倫理や道徳、就業規則といった社内規程なども含まれます。自社の利益だけでなく、株主や従業員、地域社会といったステークホルダーへの配慮なしにはビジネスを継続していくことができない時代です。そのため「コンプライアンス・リスク管理は、まさに経営の根幹をなすものであるとの認識に基づいた経営目線での対応が極めて重要」(金融庁『コンプライアンス・リスク管理に関する傾向と課題』)とされており、企業価値を高めるためにも経営陣が主導的な役割を担って取り組む必要があるといえるでしょう。
コンプライアンスリスクの種類
コンプライアンスリスクを大別すると、以下のような種類があります。リスクを管理し顕在化を防ぐためには、会社や組織それぞれにとってのリスク要因を分析し、評価することが重要です。
- 法令リスク
- 「労働基準法」や「独占禁止法」「景品表示法」など、自組織が遵守すべき法令に違反してしまうリスク
- 社内規程リスク
- 社内のルールや手順を守らず、法令違反や事故につながってしまうリスク
- レピュテーションリスク
- ネガティブな評判や噂が拡散されることにより、経営にダメージが及ぶリスク
- 契約リスク
- 契約書に不利な条件が含まれていたり、契約内容の不履行や契約書の漏えいといった契約にかかわるリスク
- 不正リスク
- 資金の横領や機密情報の持ち出しなど、役員や従業員が法令や社内規程に違反するリスク
DXやグローバル化など経営環境はめまぐるしく変化しています。従来の経験からは予測しえなかった領域からのリスクも発生しています。コンプライアンスリスクの発現を防止したり最小限にするためには、リスクを洗い出すとともに、リスクを回避するための仕組みや体制の整備をしておくことが肝要です。