レピュテーションリスク
掲載:2023年06月13日
用語集

「レピュテーションリスク」とは企業や製品、従業員に関して、ネガティブな評判や噂が拡散されることにより、企業経営にダメージが及ぶ危険性のことです。インターネットやSNSの普及により、以前ならマスメディアでは報道されなかった不祥事やスキャンダルでも世間に広まりやすくなっています。企業やブランドの信用や価値の失墜を招くリスクであり、企業の存続が危ぶまれるほどの被害になることもあります。
レピュテーションリスクが増大した背景
レピュテーション(reputation)は英語で「評判」や「世評」などの意味があります。近年、企業の評判は財務的な指標だけではなく、ESGなど多様な指標で測られるようになっています。また、SNSを通じて個人の情報発信が容易になったことによりレピュテーションリスクは増大しており、その対策が重要視されています。
レピュテーションリスクの事例と損失
レピュテーションリスクの事例として目立つのが、従業員の不祥事です。例えばコンビニや飲食店のアルバイトが悪ふざけをする動画をSNSに投稿し、世間からバッシングを受けた「バイトテロ」と呼ばれる行為があります。
また、企業のコンプライアンス違反が原因となることもあります。顧客情報が流出してしまったり、従業員が過労死したりといった事件は、企業イメージを大きく下げています。
さらに、風評もレピュテーションリスクです。根拠の不確かな噂やデマから企業や商品の評価が悪くなる事例があります。消費者だけでなく従業員が悪質なコメントを発信し、誤った情報が流布することもあります。
刑事罰、業務や免許の停止といった行政処分の対象にまで発展すると、レピュテーションリスクによる損失は多大なものになります。売上低迷、信頼回復のための広告費などのコスト、優秀な人材の流出や採用活動への支障など人的リソースにも影響を及ぼします。
レピュテーションリスクの対策
レピュテーションリスクを回避するには、以下のような取り組みをしておく必要があります。
- 従業員の教育
- 企業コンプライアンスの徹底
- リスクコミュニケーション
- 商品やサービスの向上
- 広報活動の強化
- 監視体制の見直し
一度、信頼や評価が損なわれてしまうと、取り戻すには時間もコストもかかります。売上や株価の下落にとどまらず、倒産に至る可能性も否めません。日ごろからリスクに備え、もし発生してしまったら、早期に対処して被害の拡大を防ぎましょう。
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